【東スポ杯2歳S】アパパネの子ラインベックが友道厩舎のパワーを見せつける

2019年11月13日 21時31分

早くも春を見据えるラインベック

【東京スポーツ杯2歳S(土曜=16日、東京芝1800メートル)POGマル秘週報】アパパネの子は難しい――。そんなイメージを勝手に持っていた。それは長兄のモクレレ、次兄のジナンボーのレースぶりから推察したものだが、3番子のラインベックを間近に見て、そして話を耳にするにつけ、その考えに間違いはなかったと感じている。

「何をするにも後ろ向きな性格」と大江助手。これは彼に限った印象ではなく、担当の前川助手も同様。ゆえにセンスのいい競馬で新馬戦を勝った時、それまでに聞いていた話とのギャップに驚いたものだった。

「後ろ向きな性格なんですけど、それが走りに影響していない。何も考えずに強い追い切りを重ねたら、走ることをやめるようになるかもしれないし、逆にガツンとかかるようになってしまうかもしれませんけどね。普段のこの馬がしていることを競馬で出すようになったら、それこそ大変ですから」(大江助手)

 ディープインパクト×アパパネという3冠馬同士の配合は現在の日本では最高峰と思える。しかし、これほどの血統馬であっても、勝手に能力が開花していくわけではなく、むしろ能力を阻害しない、ネガティブな要素をできるだけ出させない「厩舎力」が必要――。

 そう感じたので、次兄ジナンボーのジューンSのVTRを大江助手に見てもらった。2角でハミを取ってしまったため、逃げる選択をせざるを得なかったレースだ。

「これ、ジョッキーはレーンですね。手綱の持ち方で分かります。ああ、なるほど。ここでハミを取られちゃってるんだ」と大江助手は一つひとつの動作にコメント。

 そして「やっぱり簡単な血統じゃないなと改めて思いましたね。堀厩舎がじっくりと進めている理由が分かりました。走り方もディープインパクトのそれじゃない。これもラインベックと一緒です」と、こちらが予想していた答えに近いコメントも。

 アパパネの子はディープ産駒の特徴を持っていない――。これも大事なポイントだろう。最速上がりで連勝といっても、それはあくまで残り600メートルの数字であって、一瞬の脚の速さを示すものではないのだ。

「ラインベックは1ハロン10秒台のような瞬間的な脚は使えないでしょうね。それは能力の問題ではなく、あくまでタイプの話。仮に速い上がりが必要な状況であったとしても、4ハロンが44秒台、3ハロンが33秒台とかなら対応できると思う。だからこそ、自分から動いて流れをつくっていく必要があるんです」(大江助手)

 そんな特徴を踏まえた上での東スポ杯。それは簡単なミッションではないように思える。なぜなら頭数だけではなく、その顔触れまでを吟味すれば、超スローペース→高速上がり決着になっても不思議のない状況だからだ。友道厩舎では翌週の京都2歳Sに同じ2戦2勝のマイラプソディを予定。タイプ的には選択するレースが逆なのでは?

「そう言えるのかもしれませんが、逆に2歳のこの時期だからこそ、イメージと違うところで走る意味がある。ここを突破すれば、次はおそらく弥生賞あたりになると思うんですが、中山は上手に走れると思うんです。つまり、今回の一戦で結果を出せるようなら、かなりの手応えを持って春に向かえるんですよ」

 東スポ杯はクラシックにつながるレース。そのフレーズは同じ東京で行われるダービーを意味したものであるはずだが、すでにオープン勝ちを決めているラインベックは今回の一戦を他馬と違う観点で走ろうとしている。これも一つの厩舎力。

「まだまだキ甲も抜けていないし、幼い面が残っているけど、ストライドが大きくなって、これまでよりもパワーがついてきた。夏に使った時よりも馬の雰囲気は、だいぶ良くなってますよ」

 本当は扱いが難しいはずの血統馬をエリートホースであるように見せ、しっかりと結果を出していく。今年の東スポ杯は、ジャパンCで5頭出しを予定する友道厩舎の厩舎力を見せつけるレースになるかもしれない。