【エリザベス女王杯・後記】復活Vラッキーライラック「決め手不足」改善させた高濃度調教

2019年11月11日 21時35分

大観衆に勝利をアピールするスミヨンとラッキーライラック

 10日、京都競馬場で行われたGI第44回エリザベス女王杯(芝外2200メートル)は、3番人気のラッキーライラック(4歳・松永幹)が優勝。2018年のチューリップ賞以来、約1年8か月ぶりとなる勝利で秋の牝馬頂上決戦を制した。これまで決め手不足の競馬が多かった同馬が、復活を果たした要因はどこにあるのか? 検量室前の取材から探る。

 これまで先行押し切りのイメージが強かったラッキーライラック。しかし、エリザベス女王杯で見せた姿はまったく別のものだった。

 5ハロン通過62秒8はエリザベス女王杯史上2番目に遅い数字(芝11ハロンになった1996年以降)。この緩ペースをラッキーライラックは中団8番手で進む。人気のラヴズオンリーユーやクロノジェネシスよりもさらに後ろ。本当にここから届くのか? 道中の位置取りを不安に思ったファンも少なくないだろう。実際、松永幹調教師も「流れがゆったりしていたので大丈夫かなと思って見ていた」と振り返る。

 だからこそ、その強さが一層際立つ。前残りの流れを中団から鮮やかに差し切った決め脚は、他馬とは一線を画すもの。長らく勝利から遠ざかっていた同馬がこれほどの快勝劇を決めた理由はどこにあるのか?

 最大の勝因となったのは心身の成長だ。ひと夏越したラッキーライラックの馬体は、これまでよりもボリュームアップ。これに伴って調教の“濃度”もグンと上がった。

「初めて目一杯に追い切ったのは先週が初めて。その後は普段の調教でリラックスして走れていました。あれを見て、やれることはやれたと思いましたね」と松永幹調教師は目下の充実ぶりに目を細めていた。

 もちろん鞍上スミヨンの好騎乗も見逃せない。「もう少し前で競馬をしようと思っていたけど、慌てても仕方ない」。スタートは他馬より速いくらいだったが、11秒6とペースが速くなった2ハロン目以降はスッと手綱を押さえて体力を温存。その後も馬のリズムに任せてためるだけ脚をため、それを直線で一気に爆発させた。

 マークした上がりは自身過去最速の3ハロン32秒8。惜敗卒業を決めるとともに、競馬の幅を広げる大きな1勝となった。

「オルフェーヴルの子供というのが、自分としては縁を感じていました。オルフェーヴルの無念を晴らしたような気持ちです」

 鞍上のスミヨンはかつてオルフェーヴルで凱旋門賞に2年連続参戦し、ともに銀メダル(12、13年)だった苦い思い出がある。あれから6年の月日が過ぎ、今回はその産駒でGI制覇…。名手が絶賛する栗毛の4歳馬の反撃はまだ始まったばかりだ。