【旭堂南鷹の競馬講談したい馬】クロコスミア北添助手 2着だった過去2年と比べても「一番いいくらい」「レベルアップしています」

2019年11月08日 20時59分

レベルアップしているクロコスミア

【旭堂南鷹の競馬講談したい馬】「これからもずっと長くやっていきたいんで…」

 恋愛ドラマのワンシーンかと思わせるせりふだが、これはある男がある牝馬に向けて贈った言葉である。

 3年前の秋華賞。僕も彼女と初めて会った。小顔で利発な顔をした美しい女の子だ。ただ、勝ち気な気性は父譲りなのか、担当助手の北添裕哉をいつも強いまなざしで見つめている。見ず知らずの僕への警戒もあるだろう。気持ちが荒ぶる姿も見た。当時は、410キロ前後の小柄な馬。そうした精神的な部分も馬体が大きくならない要因の一つだと思った。モデルなら問題はないが、やはり競走馬はアスリートだ。ある程度の体重は必要になる

 それから1年後のエリザベス女王杯。「クロコ」と呼ばれる、その馬にまた会いに行った。彼女の名前はクロコスミア。全くの別馬になっていた。他人への警戒心が解け、僕の方に顔を寄せてくる。1年前にはなかった姿だ。精神的な余裕が生まれたのだろう。利発さとかれんさは保たれたまま、体重も430キロ前後まで増やしていた。

「絶対、いい競馬しますよ」

 北添の目は普段から印象的な光を持っているが、このときはギラギラと輝いていた。その言葉通りに9番人気2着と好走。あれから2年がたち、年齢は6歳になる。

 6歳といえば競走馬としては斜陽のとき。だが、北添はそんなイメージをキッパリと否定した。

「過去2年と比べても一番いいくらいです。春にマイルを使ったことで基礎的なスピードが上がった。レベルアップしていますよ」

 恐妻家だった北添とクロコも今やトレセン一のおしどり夫婦。クロコのことを一番知っている北添の強気にうそはない。

「ずっと長くやってきた」

 このコンビに最高の結果が訪れることを願う。

【プロフィル】きょくどう・なんおう 講談師。マイケル・ジャクソンの自伝を読んで講談師の道を決意。演目は競馬、MJの他に「五代友厚」をシリーズ化。毎週日曜7時~ラジオ関西「南鷹の今昔なにわ物語」出演中。夢はグラミー賞朗読部門。