【旭堂南鷹の競馬講談したい馬】ホウオウサーベルがハーツクライ一族の“菊の呪縛”を解き放つ!?

2019年10月18日 21時01分

ホウオウサーベル=蛯名は“菊の呪縛”から解き放たれるか…。右は奥村調教師

【旭堂南鷹の競馬講談したい馬】ダービー馬不在の菊花賞といえば、思い出深いのが2004年。ダービー2着馬ハーツクライを送り出す橋口弘次郎は「ダービー馬キングカメハメハがいないメンバーなら負けられない」と強気に構えた。しかし、1番人気で7着に敗れる。当時は「敗因が分からない」とこぼしていた。

 それから10年後、父と同じく1番人気で菊花賞に出走したハーツクライ産駒のダービー馬ワンアンドオンリーも9着に敗れた。このときは時計、枠など敗因がいくつかあったが、橋口も「ハーツの子は京都が苦手な馬が多い」と血の個性も挙げた。ハーツ一族菊の呪縛である。

 ホウオウサーベルがこの呪縛を解き放つことができるのか。東スポ読者であれば、鞍上の蛯名正義がこの馬にどれだけ期待を寄せているかを知っているはず。2月のフリージア賞で負けると、調教師の奥村武はすぐさま目標を菊花賞に切り替えた。にもかかわらずなぜ、それから右回りを経験させなかったのか。

「前走の選択肢としては阿賀野川特別と福島2600メートルの2つがありました。福島は馬場が悪化する恐れがあったので、きれいな馬場で走らせようと。調教では右回りも走らせていますし、変な癖を見せるわけでもないので全く心配していません」

 奥村先生とは彼が牧夫の時代からの付き合い。歯に衣着せぬジャッジには昔から驚かされている。その奥村先生がキッパリと言い切ったのだから、右回りは心配無用だ。

 では、初の輸送と大舞台の雰囲気にのまれる不安はないのか。

「輸送に関しては心配ないです。ただ、大観衆を前にしての対応は分かりません。基本はオフの馬なんですけど、阿賀野川特別の装鞍の時にいきなり立ち上がったんです。突然、オンに入ることがありますが、その状態が長続きしない。すぐにオフになるので大丈夫だと思います」

 右回りも輸送も大観衆さえも不安材料とならないのであれば、いよいよハーツ一族は菊の呪縛から解き放たれるか。

「阿賀野川特別は速い流れをあの競馬で勝ったんですから、強いとは思いました。でも、クラシック馬がいないとはいえ、そこと渡り合ってきた馬がいますからね。やっぱりメンバーは強いです。挑戦者の立場に変わりはないです」

 本来は謙虚なせりふの似合わない男であるが、本番を前にした率直な気持ちだろう。だが、前哨戦を使わず大舞台に臨む姿勢は、挑戦者らしからぬものだ。そこに奥村武のホウオウサーベルの能力への自信があるとみた。

【プロフィル】きょくどう・なんおう 講談師。マイケル・ジャクソンの自伝を読んで講談師の道を決意。演目は競馬、MJの他に「五代友厚」をシリーズ化。毎週日曜7時~ラジオ関西「旭堂南鷹の今昔なにわ物語」出演中。夢はグラミー賞朗読部門。