【凱旋門賞・総括】ヴァルトガイストの恐るべき持久力

2019年10月10日 21時31分

【TPC秋山響の海外競馬解析】エネイブルの歴史的偉業達成はならなかった。6日に行われたフランスのGI凱旋門賞(芝2400メートル)で同馬は史上初となる3連覇を狙ったが、残り50メートルで地元のヴァルトガイスト(牡5・父ガリレオ)に差されて2着に終わった。

 レースに大きな影響を及ぼしたのは雨で渋った馬場だろう。現地表記=TRES SOUPLE(ペネトロメーター4・1)はJRAのルールでは重馬場に置き換えられるが、感覚的には重馬場寄りの不良馬場というイメージだ。

 馬場がここまで悪くなってしまったことは陣営にとっても懸念材料だった。エネイブルはこれまで昨年のGI・BCターフや一昨年のGIキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSなど渋った馬場でも力を見せたにもかかわらず、管理するJ・ゴスデン調教師は「レース前にデットーリ騎手と馬場を歩いたのですが、つえが地中深くまで刺さるのを見て、これはまずいことになったと思いました」とコメントしている。

 エネイブルはこのタフな馬場で、しかもガイヤースがハイペースで引っ張る中、先に抜け出したGI愛チャンピオンSの勝ち馬マジカルを自ら捕まえにいく形に。さすがに最後は「スタミナ切れ」(ゴスデン師)となった。PMUが発表したデータを見ると、最後の1ハロンはその前の1ハロンより1秒もタイムを落とすことになった(12秒4→13秒4)。

 そこでただ一頭、迫ってきたのがヴァルトガイスト。ラスト1ハロンはエネイブルを大きく上回る12秒7で、出走馬中唯一12秒台でフィニッシュ。残り1400メートルからはこの馬だけが12秒台のラップを維持した。恐るべき持久力というべきだろう。これまでエネイブルには3戦3敗だったが、ついに女王に一矢を報いた。