【凱旋門賞】フィエールマン&ブラストワンピースを誰よりも知る男が語る“奇跡呼ぶ肌艶”

2019年10月03日 21時34分

立川記者の直撃に答える木実谷場長

【凱旋門賞(6日=パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)】日本競馬界の悲願達成となるのか? いよいよ今週末に迫った仏GI凱旋門賞の集中連載第3弾は、本紙コラム「みちのく調教基地 ノーザンファーム天栄発」でおなじみの木実谷雄太場長(39)が、同ファームで育成を担うフィエールマン(牡4・手塚)、ブラストワンピース(牡4・大竹)の2騎について思いを激白した。調教場にニューマーケットを選択した理由、さらに現在の馬の状況、そして日本馬Vの可能性…。すでに英国入りしているノーザンファームのキーマンの胸中に迫った。

 ――2騎ともに過去に例のないニューマーケットで調教する臨戦過程を選びました

 木実谷雄太:一番は新たなチャレンジということ。日本で走っている時のコンディションにどう近づけて臨むか。両厩舎とも(初めての凱旋門賞挑戦で)はっきりとしたノウハウがない中で、新たな試みですね。4月にニューマーケットを視察して、フランスも見てきましたが、これまでの遠征に関し特にクリストフ(ルメール)がいろいろなアドバイスをくれたりして、総合的な判断。日本にいる時と同じリズムで、より日本にいる時の状態に近づけるのが狙いです。

 ――デメリットは特に感じていない?

 木実谷:仮にフランスで調教するにしても、スタッフや馬も初めてで手探りなのは同じ。(レース当日の輸送が)空輸という点で少し違いますが、時間は美浦から京都や阪神に行くよりも短いですから。デメリットは特に感じていません。これまでのやり方で結果を残せていないので、変えていかなければいけない思いで選択しました。

 ――連日バリエーションに富んだ坂路での調教。客観的には国内よりもハードに映る

 木実谷:基本的には心拍数など個体のデータを取りながら判断する中で、牧場にいる時と変わらない状況だと考えています。ヨーロッパの厩舎でもこういうやり方で調教しているし、それに倣ってやっているだけ。(追い切りの)時計が出ているのでハードに見えるかもしれませんが、こちらはポリトラックで日本とは馬場の素材も違う。ハードか、ソフトか、一概に比較はできないと思いますね。

 ――現地入りして2頭を見た印象は?

 木実谷:安心しました。日本にいた時にも送られてくる映像を見て、僕なりのイメージはありましたが、調教がきつくなって疲れが出ている部分はあるにせよ、肌つやや筋肉の感じがいい状態できています。これはもう、現地のスタッフに感謝するしかないです。

 ――凱旋門賞は日本競馬の悲願

 木実谷:ノーザンファームとして世界中のレースがターゲットに入ってきますが、僕自身はブリーダーズカップなどの世界中の大きいレース、勝ちたいレースの一つ。それよりも2頭には今まで多くの人が関わってきて、応援してくれる人がたくさんいます。その意味で、いい状態で出走させたい責任感のほうが強いですね。

 ――2頭それぞれの現状をどう判断しますか?

 木実谷:フィエールマンは輸送で減らした馬体重も戻ってきましたし、トレッドミルで運動したりもしていいコンディション。距離は心配ありませんし、坂を下って平坦のコース形態は京都に似ていますから、菊花賞や天皇賞・春を勝っていて適性はあると思います。(パリロンシャンの)芝の適性は走ってみないと分かりませんが、母(フィエールマンの母リュヌドールは、伊GIリディアテシオ賞のほかにボモーヌ賞、マルレ賞=いずれも仏GIIの重賞3勝)もフランスの重賞勝ち馬で下地はあります。ブラストワンピースはもともとカイバ食いが旺盛な馬で、毎日しっかり調教して人が騎乗しない日はないくらいですからね。目黒記念(8着)の時は暑さがこたえて肌つやがひと息でしたが、その部分が解消していい感じです。札幌記念の時計のかかる馬場で勝っていますし、かき込むフォームでこちらはヨーロッパの芝が向いていると思います。

 ――これからも海外遠征の挑戦は続く?

 木実谷:今回の結果ももちろん大事ですが、次、そしてこれからにつなげていくことも大切です。今回が良ければ次もこの形でいけますし、悪ければ修正していけばいい。相手関係や展開、馬場などは僕たちにはどうすることもできません。今はとにかく、日本にいる時と同じようにいい状態で送り出すことだけを考えています。