【新種牡馬ゴールドシップの正体】種付け時はおとなしく仕事を果たす芦毛の怪物

2019年09月04日 21時30分

ゴールドシップの血統と競走成績

【新種牡馬の正体2019=ゴールドシップ】皐月賞、菊花賞のクラシック2冠に加え、3歳にして有馬記念を制覇。6歳までの息の長い活躍で積み上げたGI・6勝の輝かしい実績。しかし、その競走成績以上に、ゴールドシップを語るうえで欠かすことができないのは、その際立った個性だろう。破天荒なエピソードの数々は、いまだに語り継がれ、多くの競馬ファンの心を捉えてやまない。

 種牡馬入りしたゴールドシップはいかに過ごしているのか。その荒ぶる気性から、種付けの際にも苦労が多いことが予想されるが…。

「非常におとなしくて、スタッフの手を煩わせるようなこともなく、種牡馬としての仕事をきちんと果たしてくれていますよ」(ビッグレッドファームの蛯名聡マネジャー)

 初年度は109頭と交配を行い、以降も110頭、93頭、そして今年度は107頭。安定した数はキープしているものの、現役時代の実績を思えば、同時期に種牡馬入りしたキズナやエピファネイアとの比較で、やや物足りない数字にも映る。

 そのあたりはタフな消耗戦を得意としたゴールドシップの個性が、スピード化が進み、淘汰の早まった今の競馬にはそぐわないという懸念、さらには気性の難しさまでもが産駒に伝わるリスクを避ける動きがあったと推察される。

 その産駒の特徴に関して蛯名マネジャーは「柔らかみのある馬が多く見られる印象ですね。確かに幼さが残る体を持て余している感じもあるんですが、父も大型でありながら、2歳夏に北海道でデビューして、早い段階から活躍していた。ある程度は先行して押し切るような競馬もできていたし、そのスピードや特徴が産駒にも伝わっていれば。長い距離でのんびりと走るような晩年のイメージとは違って、2歳戦から活躍してくれる馬が出てくるんじゃないかと期待しているんです」。

 そんな期待を早くも実証してみせたのが札幌2歳S。自身は2着と勝てなかったレースに初年度産駒2頭を送り出し、そのブラックホール、サトノゴールドが見事にワンツーフィニッシュを決めたのだ。

 産駒の初勝利までに時間を要したことから懸念する声も聞かれたが、大舞台となればさらなる力を発揮し、周囲をアッと驚かすことこそが、父が伝える最大の特徴なのかもしれない。

 種牡馬としても最高のスタートを切った“芦毛の怪物”の子供たちが、これからどういった形で新たな伝説を築いていくのか、楽しみでならなくなってきた。