【トレセンの常識 私の非常識】“攻め専”前原玲奈調教助手が語るディープな「ムチ」の世界

2019年09月02日 21時33分

硬さの異なる3種類のムチを使い分ける前原玲奈調教助手

【トレセンの常識 私の非常識by謎の女記者・赤城真理子】プールに花火にバーベキュー…。今夏も私の周りの“リア充”女子たちのキラキラっぷりったらありませんでした。え? 私ですか? 琵琶湖花火大会の「音」だけなら、トレセンの事務所で聞きましたけど。でも、この夏の頑張りが今後の記者人生の糧になってくれるはず。そう思わなきゃ目から海水が出てくるってもんです。海にも行けてないのに…グスン。

 夏の自由研究的に始まった当コラムも今回で最終回。最後を締めくくる課題は「ムチ」です。ムチといえば、ジョッキーさんが競馬場のレースで使うイメージですが、使用回数ならトレセンで働く調教助手さんのほうが多いんじゃないかな。

 ちなみに調教助手には、担当馬を持っていない「攻め専」と呼ばれる調教専門の馬乗りのプロがいて、元ジョッキーの方も多いんです。梅田厩舎の前原玲奈さんはその代表! 競馬ファンならご存じの方も多いのではないでしょうか? そう、女性ジョッキーとして活躍した西原玲奈さんが、河内厩舎の調教助手・前原さんとご結婚され、前原玲奈さんになったんですよ。新聞のコメントで見る梅田厩舎の“前原助手”とは、実は西原玲奈さんのことなんです!

 武豊騎手はたくさんのムチを持っていることで有名ですが、調教助手さんの商売道具もムチ。玲奈さんも、やっぱり多くのムチを使い分けているのでしょうか?

「今は主に3種類のムチを使い分けています。ジョッキーとは使う意味合いが違っていて。癖のある馬を真っすぐ走るようにしたり、走る気のない馬の気合付けだったり、やんちゃな新馬のしつけだったり…。私たちのムチは文字通り“調教のため”に使っています」

 玲奈さんの3種類のムチは、先にふわふわのクッションが入った軟らかいもの(レースでジョッキーが使っているものと同じだそうです)、クッションのほとんど利いていない硬いもの、その中間のもの、という構成になっていました。どういった使い分けをしているのか? ぜいたくにも玲奈さん直々に詳しく説明していただいたので、動画でご覧ください!(https://www.tokyo―sports.co.jp/horse/movie/1527381/)

 ちなみに同じ攻め専の方でもムチの好みや本数は様々。たとえば羽月厩舎の秋田助手は「しなるタイプが好きなので、先が重めのものを使っています。僕はムチをバシバシ入れたくない。これなら1回で割と効果がありますから」。

 一方、しならず、硬いムチを使っているのは藤沢則厩舎の田島助手で「ウチの厩舎は難しい馬が多いので気合を入れなきゃいけないから。しなるやつだと、ワンテンポ遅れてくる感じで好かないんだよね」。

 これが正解、というのがないから、人によっていろいろ違うようです。

 玲奈さんと同じ梅田厩舎の永田助手は「僕、ムチを集めるのが趣味やねん。これはただのコレクション。いいやろ」。見せてくださったのは10本以上のムチ! でも、最も高そうなムチは「汚したくないから絶対に使わないねん」と。冗談でなく、ガチの顔でした(笑い)。ええ、トレセンにはホントに個性的でユニークな方が多いんです。

 たくさんの“非常識”に囲まれているトレセンですが、記者にならなければ出会えなかった「トレセン人」の方々こそが“非常識”の主役。もちろん、いい意味ですよ!

 だからこそ、この世界の面白さは尽きないのかもしれないなあ。まだまだ紹介したい厩舎関係者がいるのですが、それは次の機会に。またお会いできるよう、日々ネタを集めておきますね!