【ラジオNIKKEI賞】レッドアネモス「さらなる賞金加算を狙って出る一戦」

2019年06月28日 21時01分

扇風機全開で涼をとるレッドアネモス

【ラジオNIKKEI賞(日曜=30日、福島芝1800メートル)栗東トレセン発秘話】24日に発表された京都競馬場の改修工事は、リニューアルされる喜びよりも、京都開催が2年5か月も休止されることの驚きのほうが大きかった。もっともトレセン内では早々に噂に上っていた話。ただ2年5か月という期間の長さを改めて見たときに〝ため息〟が出てしまった。これが正直な感想かもしれない。

 実際、トレセンにおける京都競馬場の人気は阪神や中京のそれをはるかに上回る。「一年中ずっと京都開催でもいいくらい」という関係者も少なくない。なぜなのか?

 実に単純な話で京都=栗東トレセンから近い、阪神・中京=遠いことが最大の理由。ただ輸送時間の問題だけではない。開催日でも早朝5時開門の京都と違い、阪神と中京は馬運車との兼ね合いで4時開門。阪神・中京のダブル開催にいたっては真冬の3時半開門だ。ゆえに集合が2時前なんて厩舎はザラにある。

「そりゃあ、仕事ですから早起きしますよ。でも早朝の仕事の後、競馬場に行って、しかも(担当馬が)最終レース出走なんてことになったら本当に地獄。阪神は高速までの道もやたらと混んで帰りも遅くなる。いいことなんてひとつもない」

 今回の決定に、こうぼやく厩務員さんも。立場はまるで違うが、京都競馬場の近所に住む記者も同様。京都と阪神では起床時間に1時間以上も差が出る。予定が早まることはないだろうが、せめて施工が遅れることだけは避けてほしいと心から願っている次第だ。

 一方、記者仲間との話題の中心はウッドの調教時計が自動計測になること。「オレがここで仕事をするのもあと2年。そのあとは老体にむち打って、レジ打ちか棚卸しのバイトでもしますわ」と某ベテランが冗談とも受け取れない顔でポツリ。坂路と同じように騎乗者や手応えを確認する人間は必要なわけで、全員が失職することはないだろうが、余剰人員が出ることは避けられない。そういう意味では、こちらのほうが衝撃的だったかもしれない。

 ただし、個人的にこの決定は大賛成。単純に各社の時計のバラつきがなくなるだけでなく、採時という最も手間のかかる仕事がなくなることによって、馬の動きを見ることに集中できるからだ。

 なにせ現在の我々は「調教時計の採時」→「騎乗者やゼッケンなどの確認」→「手応えや何分どころ(を走った)かの確認」までの流れがあって、ようやく馬の動きをチェックできる段階に到達する。しかも、あまりに多くの馬が追い切る現在の状況では「分担制」が常識。すべての馬を網羅することは不可能で「いや、オレは見れてないんだけど…」なんてことも少なくなかった。そのような状況が改善されることは、一人の調教時計班として喜ぶべきことだと思っている。

 そんな「京都競馬場の開催休止」も、「ウッドの自動計測化」とも、まるで関係のないラジオNIKKEI賞。関係ない? いや、実際はちょっとだけ関係がある。友道厩舎の馬は人気しがちな傾向にあるのだが、それは馬の能力が高いだけでなく、時計班が動きを確認しやすい時間帯に追い切っていることも理由のひとつと考えられる。似たような成績であれば、自分の目で見た馬を推奨したくなるのが人情。特に攻め駆けするレッドアネモスみたいな馬はそうだろう。しかし動き抜群はいつものこと。知りたいのはそれ以上のプラスアルファだ。

「牝馬なのにカイ食いが旺盛。だから常に強い調教ができるし、やってもこたえない。それがこの馬のいいところなんだけど、一方でハードに追っても馬体が減らないから余裕残しになっていたんです。最近になってようやく体が絞れ、馬体の印象も競馬での走りも変わってきましたね。オープン(白百合S)を勝って秋華賞の出走を確定できた段階で、さらなる賞金加算を狙って出る一戦ですから。モノにしたい」(大江助手)

 どのような背景で、その状況が生まれているのか? その取材をするための時間をつくれることが、ウッド自動計測化の一番の利点かもしれない。