日曜東京芝千八デビューのワーケアに“大物の相”あり

2019年06月06日 21時32分

「いきなり勝負になるはず」手塚厩舎の期待の1頭ワーケア

【美浦トレセン発秘話】先週の安田記念は当欄が懸念した通り、煮え切らない一戦となった。着順を馬番で示せば、5→2→14→6→4→7→1→8→16→13→3→12→9→10→11→15。ロジクライの斜行で外枠4頭に不利があったとはいえ、14番アーモンドアイを除けば、上位に来たのは軒並み馬番が1桁の組だ。これが意味するのは、今の東京は枠順に左右される非常にトリッキーなコースであるということ。その原因が前が止まらない馬場であるのも明らかで、果たして能力認定たるGIを行うに適した舞台かはいまだ疑問が残るところだ。
 もっとも“負の連鎖”に泣いたアーモンドアイの最大の敗因は「ベストのレース選択とは言えない」凱旋門賞を回避した末に、図らずもその対極となる軽薄な舞台を選択したことか。一度狂った歯車を再び正常にかみ合わせるのは容易でない。やはり勝負事には流れがある――改めてそう感じ入った次第である。

 さて“勝負の流れ”という点で、今週注目したいのは現時点で全国リーディング78位の手塚貴久厩舎だ。3回東京1週目終了時点での8勝は、昨年10勝に比べて物足りない数字。とはいえ、今季の初勝利は4月6日の中山戦(湾岸S=マイネルファンロン)。そこからわずか2か月弱で積み上げた8勝は明らかに“いい流れ”を物語る。

「昨年の最後の勝利が11月10日。つまり、今年の初勝利まで5か月間も勝てない時期が続いた。まあ、そんな時は何をやってもうまくいかないね。改めて思うのは、勝てる時にきっちり勝たなきゃダメってこと」と語るのは同厩舎の森信次郎厩務員。そしてその彼が「勝てる時」と踏むのが、今週日曜(9日)の東京芝1800メートルでデビューする2歳新馬ワーケアだ。現OPダノングレースの半弟となるハーツクライ産駒で、当方が感心するのが物おじしない強靱なメンタル。隣の馬房で3歳馬が大暴れしても、“何をそんなに興奮しているのか”と我関せずのポーズを貫く。いわゆる大物の相ありだ。

「この2歳馬らしからぬ落ち着きが当初はむしろ不気味でさ。何か強烈なスイッチが隠れているんじゃないかと警戒し続けた(笑い)。それでも調教では気持ちが乗るし、要はオンとオフが非常にハッキリしたタイプということ。1週前に手綱を取ったルメールも“いいね”と好感触だったから、いきなり勝負になるはずだよ」と同厩務員。NHKマイルCから狂い始めた鞍上の歯車も、このスケール感十分の若駒が軌道修正してくれることを期待しよう。