【安田記念・後記】3着アーモンドアイを襲った“不”の連鎖

2019年06月03日 21時34分

上がり32秒4の鬼脚で猛追したアーモンドアイ(手前)だが、クビ+ハナ差で敗れた

 2日に東京競馬場で行われた第69回安田記念(芝1600メートル)で、女帝アーモンドアイ(牝4・国枝栄厩舎)のGI連勝がついにストップした。しかもデビューからの最低着順(3着)という悪夢の結末だ。主戦・ルメールいわく「スーパーホース」に一体何が起きたのか?単オッズ1・7倍が“ぶっ飛んだ”その舞台裏を徹底検証する。

「スタートでガチャガチャして位置取りが悪くなった。あれがすべてと言えばすべて。不利な外枠がさらに不利になってしまった」(国枝調教師)

 アーモンドアイにとって最大の誤算はスタート直後だった。大外17番枠のロジクライが内に大きく切れ込む斜行により「5馬身くらいのロス」(ルメール)がいきなり大本命馬に生じたのだ。

 加えて本来なら先行するはずのダノンプレミアムもモロにアオリを受けて、終始アーモンドアイの外に馬体を並べる展開。「ダノンが早めに動いてくれれば違ったろうが、ずっと馬群にいる形になった」と同師は振り返る。

 そのダノンとて16着シンガリ負けでレース後には鞍上が下馬したくらいだから、道中動きたくても動けない状態だったのかもしれない。

 さらに馬場や流れもこの日のアーモンドアイには味方しなかった。新馬戦を除く当日の他の芝3鞍は、すべてインを回る馬が連対する「先行天国」。加えて逃げたアエロリットが刻んだラップは、5ハロン通過で前走のヴィクトリアマイルより0秒9遅い57秒0。9番手で直線を迎えた時点で、万事休すの態勢だったのだ。

 それでもようやく外に持ち出したラスト2ハロン過ぎから猛然と追い込んだのは、紛れもなくポテンシャルのなせる業だろう。マークした出走馬最速上がりの32秒4は、自己ベスト(33秒2=桜花賞&オークス)を0秒8上回る数字。クビ+ハナ差届かずの3着も走破時計1分30秒9は優勝馬とイーブン。加えて1、2着馬とのゴール前の完歩の大きさの違いを見れば、アーモンドアイが走り切っていないのは明白だ。

「道中は冷静に走れていたし、直線はよく伸びてくれました。スタートは仕方ない。これも競馬ですから」。愛馬をねぎらうように語ったルメールの言葉に落胆の色はなかった。

 それは国枝調教師も同じだ。「競馬だからあり得るとは思っていたこと。逆に1、2着馬はスムーズな競馬ができた。競馬っていうのはそういうものだから」と悲観する声は一切なし。

 つまり、様々なアクシデントを含めてアーモンドアイは今年の安田記念という舞台に愛されていなかったということ。今回の敗因を突き詰めればそこに尽きるだろう。

 連勝劇こそストップしたが、昨年のジャパンカップ(472キロ)から12キロ増とボリュームアップした体を見ても“スーパーホース”がこのまま終わらないことだけは明らか。夏場は放牧でリセットして10月27日の天皇賞・秋(東京芝2000メートル)からの始動が濃厚…。今は完全復活の時を静かに待ちたい。