【安田記念・後記】GI制覇インディチャンプ 2強粉砕した福永“前夜の閃き”

2019年06月03日 21時33分

インディチャンプの背で大観衆に勝利を誇示する福永。新マイル王の誕生だ

 東京GI・5連戦のラストを飾るマイル王決定戦・第69回安田記念(2日=芝1600メートル)は、福永騎乗の4番人気インディチャンプ(牡4・音無)が優勝。逃げたアエロリットを差し切って見事にGI初制覇を成し遂げた。2強の陰に隠れていた4歳馬が大仕事を成し遂げた背景には、陣営の様々な“ファインプレー”があった。

 4番人気とはいえ1920円の単勝配当が示すように、インディチャンプの立ち位置は伏兵にすぎなかった。もちろん2強の絶対的な存在感は陣営も認めるところ。それでも「厳しい立場であっても勝つためにどうするか?」(福永)を模索してきたからこそ射止めた大金星と言えよう。

 勝利へのプランは2つ存在した。ひとつは中~長期的な“育成計画”だ。

「出走権利が取れず断念したものの、3歳時もNHKマイルCを目指したほど。当時は肉体面が完成していなかったが、素質の高さは感じていた」とは管理する音無調教師。

 GIIIアーリントンC(4着)当時は454キロだった馬体重は470キロまで増加した。特に「はち切れんばかりだった」というトモの成長が今回の大仕事の土台になった。

 しかし、体が完成したからといってすべての競走馬がタイトルを手にするわけではない。インディチャンプにとって幸いだったのは昨年6月の小豆島特別(2着)から一貫して福永とのコンビを継続できたことだ。

「初めてまたがった時から“バネ”を感じましたね。この一瞬の脚は武器になると思いました。ただ、武器は磨かないと光りませんから」と同騎手。

 まずは後方で折り合いを覚えさせることから開始。徐々に中団、好位とポジションを上げつつも末脚を発揮することを実戦を通じて習得したことが今回の好位+上がり32秒9に結実した。

 そして鞍上いわく「昨夜、決めた」という具体的なレースプランこそが勝利に直結した。今週も明らかに内優位な傾向が出ていた芝コースだけに、3枠5番の好枠を生かさない手はなかった。

「アエロリットが行くのは予想できたこと。2、3列目のインを追走できたら」と音無調教師&オーナーサイドに事前に伝えた“展開図”を着実に実行していく。

 鞍上にとって誤算だったのは“併せ馬”のパートナーとして考えていたダノンプレミアムの脱落。それでも「早めに抜け出すと気を抜いてしまう。内のアエロリットが格好の目標になった」と、勝負どころでも福永はどこまでも冷静だった。

 それも継続騎乗でパートナーを熟知していたからこそ。乗り替わりや“直行”が主流となるトレンドに一石を投じる勝利ともいえる。

 下半期の大目標のひとつとして音無調教師が挙げたのが京都が舞台の11・17GIマイルCS。「得意なのは左回り。右回りで内にもたれる点は克服すべき課題ですね。ただインディチャンプの成長力をもってすれば…」と福永も期待を寄せる伸びシロ次第では、絶対的なマイル王に上り詰めることも可能なはずだ。