夏競馬が変わる!新クラス分け攻略法 降級制度廃止でどうなる?

2019年05月31日 16時30分

最強の1勝馬・エタリオウ

 JRAでは今週末の東京、阪神開催から競走条件で呼称が変更される。同時に降級制度が廃止され、「500万下」が「1勝クラス」、「1000万下」が「2勝クラス」、そして「1600万下」が「3勝クラス」へと呼び名が変わる。これまで夏競馬では「降級馬を狙え」が馬券の鉄則だったが、制度の廃止で様相は一変。夏の競馬の馬券作戦はどう変化するのか?

 競馬の祭典・日本ダービーが終わってもJRAの競馬開催は今週も中央場所(東京、阪神)で行われる。気温はすでに連日、真夏日を記録してもローカル競馬が始まらないと“夏競馬”の感覚は湧かない。しかし制度上は今週が大きな節目、いわば“年度替わり”を迎えることになる。

 節目のひとつは翌年のダービーを目指す2歳馬による新馬戦のスタート、もうひとつがクラス再編に伴う“4歳馬の降級”だったが…。しかし後者は今年から廃止となる。これに伴いクラスの呼称も500万下→1勝クラス、1000万下→2勝クラス、1600万下→3勝クラスに変更される。新ルールがスタートすることで何が変わるのか?

 中央競馬における平地競走のクラス分けは“収得賞金”によって決定される。いわゆる賞金(=本賞金)は1~5着馬が得られるが、収得賞金は1着馬(重賞競走は1~2着馬)のみ一定額が加算される。4歳馬は夏季競馬開始時点(=クラス再編)で、それが1/2とされるのが昨年までのルール。つまり500万円超~3200万円以下の4歳馬は旧在籍クラスより1~2クラス下で、“再スタート”を切ることが可能だった。夏季競馬開始とともに、それまで同世代と争ってきた3歳馬も年長馬と走ることになるが、新クラス編成において実力、経験で勝る降級4歳馬の優位は絶対的だった。

 馬券作戦上は本命党にとって信頼できる軸馬となっていた降級馬だが、制度上の問題点はたびたび指摘されてきた。JRAは「同じクラス内で降級馬とそれ以外の馬の能力差が大きい」「高条件馬が大幅に減少し、高条件競走を多く編成できない」「ルールが複雑で特に新規のお客さまが参加する上で分かりづらい」などを挙げて制度変更に踏み切った。

 昨年以前の改編期と比較して、在籍頭数に大きな変化が生じるのは1勝クラス(500万下)とオープン。前者は2勝クラス(1000万下)からの降級馬がなくなることで減少、後者は3勝クラス(1600万下)~2勝クラスへの降級馬がなくなることで増加が見込まれる。夏競馬においてメインのオープン特別が1桁の少頭数といった事態は減少、下級条件では強敵となる降級4歳馬がいないことで、3歳馬が秋競馬につながる2、3勝目をゲットする機会も増えるに違いない。馬券作戦上も当然、“3歳馬狙い”が鉄則となりそうだ。

 その一方で、3歳未勝利戦終了時期の前倒しなど、他の施策と併せ競走馬の入れ替えサイクルが加速されることが懸念される。例えば新馬→2歳GIIIを勝ったあとは鳴かず飛ばずだった“早熟馬”も、昨年までなら収得賞金2000万円からの半減で1000万下からの出直しも可能だった。しかし今年からは永遠にオープン馬はオープン馬であり続けるだけに引退時期が早まることは明白。よりシビアに競争原理が働くだけに終身雇用が崩壊しつつあるサラリーマンはかえって親近感を感じるかもしれないが…。

【最強の1勝馬エタリオウは?】JRAは新制度におけるクラスの名称を「分かりやすくなった」と自画自賛するが…。むしろ複雑化する一面もある。昨年の菊花賞2着馬エタリオウに代表される“最強の1勝馬”は1勝クラスではなく、オープンに所属することになる。表記上は勝ち鞍数がクラス分けの基準に思えるが、実際の区分は収得賞金で行うためこのギャップが生じる。重賞は2着でも収得賞金が加算されるゆえ、重賞2着4回で6350万円のエタリオウはオープン馬(1600万円超)となる。同じ理屈で収得賞金400万円の1勝馬が格上挑戦でオープンを勝った場合もパターンは分かれる。九州産限定の2歳オープンならば500万円加算で計900万円で2勝クラスとなるが、古馬のリステッドだと1400万円加算で計1800万円でオープンとなる。昨年以前に降級していた組も勝利数とクラス名が合致せず、混乱はしばらく続くと思われる。