【安田記念】アーモンドアイ国枝栄調教師が懸念材料のひとつに挙げた「高速ターフ」の功罪

2019年05月30日 21時32分

ヴィクトリアMを制したノームコア(奥)はその後に骨折が判明

【安田記念(日曜=6月2日、東京芝1600メートル)美浦トレセン発秘話】令和最初のダービーは12番人気ロジャーバローズが優勝。鞍上・浜中俊も「びっくり」の大波乱で時代の幕を開けた。勝ち時計2分22秒6はオークスを0秒2上回るが、レース上がり(35秒9)で0秒6劣るこの決着をどう評価すべきかは悩むが…。2週前は「先行馬」を、先週は「ディープ産駒」をキーワードに挙げながらも◎にたどり着けなかった当方のボンクラが際立つ〝痛い〟結末だったのは確かである。

 さて、今週は東京GI5連戦を締めくくる安田記念。“世界のアーモンドアイ”の出走で、例年よりも注目される舞台になった。ただ、同馬を送り出す国枝栄調教師が懸念材料のひとつに挙げているのが、今のレコード連発の高速ターフである。

「ヴィクトリアマイルで1分30秒5のレコードが出たし、上がり3ハロン33秒台は当たり前。そうなると、安田記念も位置取りによっては届かない場合が出てくる。スタートで安めを売ると、いかに東京といえどもレースは厳しくなるだろう」

 ダービーの1番人気サートゥルナーリア(4着)は、いみじくも国枝師が危惧する“負けパターン”にハマってしまったわけだが…。

 アーモンドアイの取捨は他に譲って、当欄で今回記したいのは高速化するJRAの馬場づくりに関して。ヴィクトリアMの覇者ノームコアの骨折(左第1指骨)が判明したから言うのではない(一概に高速馬場が骨折の要因とは捉えていない)。気がかりなのは別の点にある。

 現在、函館、札幌の2場を除くJRAの競馬場は、エクイターフというJRAが開発した野芝を採用している。茎の密度や地下部分の重量などが従来の芝の2倍程度で、芝のはがれや、えぐれを回避できるのが、その特性。これがオフシーズンのない現状の開催日程を可能にしている。それでも…。

「元来はヨーロッパ、特にフランスを模範としたのが日本の競馬の成り立ち。だからこそ、凱旋門賞への憧れが昔から強いんだろうけど、同じ芝の競馬でも今のような高速馬場では求められる要素は当然異なってくる。同じ馬場が続けば、サラブレッドの生産の方向性も必然的に決まってくるだろうね」とは前出の国枝師。

 つまり、馬場の高速化がこのまま進めば、スピードに特化した馬づくりが推し進められる可能性は大きい。そうなれば、おそらく日本馬の凱旋門賞制覇も遠ざかろう。少なくとも現行の芝がベストか否か、それを競馬サークルで、より議論する必要はあるはず。

 JRAの馬場づくりこそが令和の生産界の大きなかじを握るのだから。