【思い出のGIレース=1999(平成11)年「安田記念」】ハマった! エアジハード騎乗・蛯名の「グラスワンダーを負かすならこの戦法」

2019年05月28日 21時31分

一転しての差し戦法で勝利したエアジハードと蛯名(手前)

 大一番での勝負強さで、数多くのGIタイトルを獲得してきたジョッキー・蛯名正義。エアジハードで勝った1999(平成11)年の安田記念は、彼らしいファイトあふれる騎乗でもぎとった一戦だった。

 下馬評はグラスワンダーの1強ムード(単オッズ1・3倍)。前年の有馬記念優勝馬であり、前哨戦の京王杯SCを強い内容で勝っていた。

 対するエアジハードはその京王杯SCでグラスワンダーの2着。前有利の展開を先行しながらの敗戦だっただけに、逆転は難しいかと思われていたが…。鞍上・蛯名の見解は違っていた。

「それまで橋本(広喜)が乗っていた馬で、自分がジハードに乗ったのはあの時が初めて。しかも(安田記念出走への)賞金的にもギリギリの状況…。だからまずは確実に2着以内に入らねばと思って、“堅く”先行策で臨んだんだ。にもかかわらず着差はわずか(0秒1差)だったし、先頭に立ってからは遊ぶような面も。敗れはしたけど、“これなら次は勝負をかけられる”との手応えはつかめた」

 迎えた本番。蛯名が取った作戦は、京王杯とは一転しての差し戦法だった。中団から運んだグラスに対し、ジハードはさらに後方。直線では先に抜け出したグラスに一旦突き放されたが、ジリジリ差を詰め馬体を併せると、最後は叩き合いの末にゴール前できっちり捕らえてみせた。

 まさに“勝負師”の真骨頂たるレースぶり。蛯名は「長くいい脚を使ってくれたよね。京王杯の感触から“グラスを負かすならこの戦法”と思っていたのが、うまくハマってくれた」と当時を振り返った。

 あれから20年――。果たして今年の安田記念では、アーモンドアイの牙城を崩すような“勝負騎乗”が見られるだろうか。

(美浦担当・藤井真俊)