【思い出のGIレース=2004(平成16)年「日本ダービー」】“殺人的なハイペース”が生んだ紛れもない名勝負

2019年05月20日 21時33分

サバイバルレースを制したのはキングカメハメハ(右)だった

 3歳マイル王(NHKマイルC)の座に就き、秋にはジャパンカップダートも制したクロフネ。フェブラリーSなど地方交流も含め、ダートGI・4勝をマークのゴールドアリュール。引退後は種牡馬としても活躍した両雄にはある共通点が存在する。ともに日本ダービーに出走し5着に善戦しているのだ。

 たとえ短距離馬であろうと、ダート馬であろうとサラブレッドであれば目指すべき頂であり、だからこそ種牡馬選定レースとして機能する…。これが正しいダービーのあり方ではなかっただろうか?

 2006年以降のダービー馬は、6頭が種牡馬として産駒デビュー済み。しかし、JRA・平地GI制覇はオルフェーヴル(エポカドーロ=皐月賞、ラッキーライラック=阪神JF)しか達成できていない。輸入種牡馬の存在感が希薄になっている現代において、この体たらくはダービーの価値低下を物語ってはいまいか。

 一方、複数路線が激突した“ガチンコ勝負”が遺伝子レベルでの底力を要求したのが04年のダービーだった。

 マイネルマクロスの逃げを、前走・交流GII兵庫チャンピオンシップ勝ちのメイショウムネノリが番手でマーク。さらにコースレコードに0秒1差の高速決着だった皐月賞上位のコスモバルク、ダイワメジャーが好位から積極的に追走すると、前半5ハロン通過は57秒6という“殺人的なハイペース”となった。

 この表現は決して比喩的なものではない。出走18頭中2頭は同レースがラストランとなり、6頭は翌年までの休養を強いられた、まさにサバイバルレースとなった。

“深追い”がたたった皐月賞組が直線半ばで脚色が鈍る中、台頭したのは別路線の差し馬たち。その上位勢でも自身上がりを1着キングカメハメハ(前走・NHKマイルC)=35秒4、3着ハイアーゲーム(青葉賞)=35秒9と要したこともタフな内容を裏付ける。

 そして、2分23秒3のコースレコード(当時)がダテではないことはキングカメハメハに加え、2着ハーツクライ、5着スズカマンボ、6着ダイワメジャーも種牡馬としてGI馬を送り出したことからも証明される。

 皐月賞の儲け分(112万円)をブチ込んだ当方のガチンコ勝負馬券は紙くずとなったが、すがすがしい気分となれたのはレースが紛れもない名勝負だったからこそ。“予定調和”の大団円は、見たいレースでも馬券を買いたいレースでも決してないはずだ。

(美浦時計担当・山河浩)