【思い出の重賞レース=2012(平成24)年「葵S」】勝ち馬は祖母ブゼンキャンドルの意外性受け継いだマコトナワラタナ

2019年05月19日 21時30分

 重賞へと格上げされてまだ2年目だが、オープン時代には2010年2着カレンチャン、11年1着ロードカナロアと、のちの最優秀短距離馬を2年連続で輩出。古くはカルストンライトオ(01年)もここを制し、スプリンターズS覇者へと成長した。その地味な立ち位置から軽視されがちではあるが、実はトップスプリンターへの登竜門と筆者は認識している。

 そんな筆者にとって忘れられないのが12年。前出のカレンチャンが11年最優秀短距離馬に輝いたあと、返す刀で高松宮記念も制した、まさにその年のレースだ。高松宮記念で3着に敗れたロードカナロアにしても、本番まで5連勝で駒を進め1番人気に推されていた。要は、一気に葵Sの存在価値が押し上げられた年である。

 そんな将来を嘱望された12年の勝ち馬が、マコトナワラタナ。ちなみに1番人気は“旋回癖”で名をはせることになる、あのハクサンムーン(9着)である。

 マコトナワラタナは前走の橘S(京都芝外1400メートル)でやや力むようなしぐさを見せていたが、距離短縮により折り合いがスムーズに。最後は上がり3ハロン33秒4の剛脚で、他馬を一掃した。当時を振り返り、ナワラタナの稽古役を務めていた野田助手はこう語る。

「勝つときはホント鮮やかでしたよね。レースへ行くとグッと闘志を燃やすんですが、普段は本当にかわいい子でしたね。それこそ、ペットとして飼いたいぐらい。本当にかわいくて、扱いやすい馬でしたよ。懐かしいっすね」

 また、同馬を語るうえで大事なのが「よく『えっ?』っていうときに勝つんですよね。意外性に富んだ馬でした」(同助手)ということ。

 勝つときは総じて人気薄。全5勝のうち、1番人気での勝利は皆無であり、逆に1番人気に推されたときは2、11、11、7着と見せ場すらないレースもあった。“天然キャラ”としても有名だったわけである。

 そんなナワラタナの母の母の欄には、あのブゼンキャンドルの名が。1999年秋華賞で、12番人気の低評価を覆し直線一気を決めた馬だ。平地GI馬が障害転向するなど、それこそ祖母は意外性の塊といえる馬だった。カレンチャンや、ロードカナロアのような出世街道は歩むことができなかったが、ラストランの15年オパールSでは最後の“らしさ”爆発。10番人気ながら2着と波乱を演出した。最後までそのキャラを貫き通したわけである。

(大阪スポーツ栗東時計担当・清水友哉)