米GⅠケンタッキーダービーで歴史的“事件”

2019年05月09日 21時30分

【TPC秋山響の海外競馬解析】4日に行われた今年の米3冠初戦、GIケンタッキーダービー(ダート10ハロン)は大波乱の結末になった。

 レースは雨で不良になった馬場の中、単勝5・5倍の2番人気(以下人気、オッズは現地のもの)に推されたマキシマムセキュリティが逃げ切って栄冠をつかんだかに思えたが、その後、2位および17位入線馬の騎手から最終コーナーで勝ち馬から走行妨害を受けたとして異議申し立てがあり、約20分に及ぶ審議の末にマキシマムセキュリティは17着に降着。2位入線のカントリーハウス(牡=父ルッキンアットラッキー、モット厩舎)に勝利が転がり込んだ。

 今年で145回を迎えたケンタッキーダービーの長い歴史で、1位入線馬が走行妨害で降着になったのは、これが初めて(1968年、ダンサーズイメージが禁止薬物の陽性反応で1着失格になった例がある)。その結果が、パリミュチュエル方式(賭け金全額をプールして諸経費を引いた後、当選者に分配される)が導入された1908年以降では、史上2番目の大穴となる単勝66・2倍の18番人気馬の優勝になったわけだから、ダブルでショッキングな幕引きになった。

 ただ、降着になったとはいえ、マキシマムセキュリティのパフォーマンスは目を見張るものがあった。前走のGIフロリダダービーはスローペースや相手に恵まれてのものであり、過剰人気だと思っていたが、この強さは本物。不明を恥じるばかりだ。「歓声に驚いて」(サエス騎手)膨れてしまった最終コーナーだけが惜しまれる。

 日本産馬として初めて参戦したマスターフェンサーも頑張った。6着は日本調教馬としては、これまでのスキーキャプテン(14着)、ラニ(9着)を上回る最高着順で、上がり400メートルの24秒31は2位のそれを0秒5以上も引き離すメンバー最速の数字。次走に予定されているGIベルモントSに向けて楽しみが広がる結果になった。