【思い出のGIレース=平成8年「NHKマイルC」】

2019年05月01日 21時33分

直線鋭く伸びてNHKマイルC初代王者に輝いたタイキフォーチュン(右)

 平成の競馬を語るうえで、ひとつのキーワードなるのは外国産馬、いわゆる(外)馬(正式記号は○の中に外)だ。1990年代以前からのファンなら「(外)=規格外の強さ」というイメージが心のどこかに残っているはず。そんな印象を植えつけるのにひと役買ったのが、平成8(1996)年の第1回NHKマイルCだろう。

 3歳(当時の表記では4歳、以後すべて年齢は新表記)春のマイル王決定戦として新設(ダービーTRのNHK杯が前身)されたレースだが、当時はクラシックへの出走権が(外)馬への受け皿的な役割が大きく、第1回も出走18頭中14頭を(外)馬が占めた。

 そんな記念すべき第1回を制したのはタイキフォーチュン。ただ、どの馬が勝ったということよりも電光掲示板に計時された1分32秒6という数字のインパクトがとにかく大きかったのを記憶している。今でこそ条件戦でも記録されるような時計だが、当時の東京マイルレコードは平成2(1990)年安田記念オグリキャップの1分32秒4だった。

 5ハロン通過56秒7という超ハイラップがサポートした数字なのは間違いない。にしても、それに近い数字を3歳春の時点でマークしたのだから「やっぱり(外)ってすげ~」と興奮したのも当然だろう。

 その後、一度も勝利できなったタイキフォーチュンは尻すぼみも多い外国産馬らしいといえばらしいが、あの衝撃Vが色あせることはないだろう。そして90年代後半はエルコンドルパサーや、グラスワンダーら外国産馬による熱い戦いも繰り広げられ、その桁違いの脚力を見せつけられたものだった。

 近年はすっかり(外)馬の存在感が薄れてしまった。その裏には長引く不況(日本への持ち込みにもろもろ経費がかかる)もあるが、大種牡馬サンデーサイレンスの登場から始まる内国産馬のレベルアップが大きく影響している。今年のNHKマイルCも(外)の出走はゼロ。心なしか以前ほどの華やかさはなくなり、微妙な立ち位置となりつつあるこのレースだが…。

 今年は桜花賞圧勝のグランアレグリアも参戦してなかなかの好メンバー。あの時の衝撃、感動、興奮を思い出させてくれるようなレースを期待したい。

(美浦担当・山口心平)