【フローラS・後記】ウィクトーリアの新たな可能性を引き出した戸崎圭の巧騎乗

2019年04月22日 21時31分

テン乗りの戸崎圭は機転の利いた手綱さばきを見せた

 21日、東京競馬場で行われたGIiフローラS(芝2000メートル)は出遅れのロスを挽回し、ゴール前で鋭く伸びたウィクトーリア(小島)がハナ差の写真判定を制して優勝。2着シャドウディーヴァまでが牝馬クラシック第2弾の5・19オークス優先出走権を獲得した。主役級不在の前哨戦が残したものは果たして…。

 ニューヒロイン誕生を望むムードが1戦1勝のセラピア(14着)を1番人気に押し上げたが、フタを開けてみれば4着までは重賞出走歴のある“キャリア組”が独占。とはいえ桜花賞切符を奪取できなかった組に新味はない? しかし、例年と情勢の異なる本番の組み合わせがトライアル組軽視に警鐘を鳴らす。

 桜花賞を制したグランアレグリアは距離適性を重視してNHKマイルCを選択。桜花賞馬が不在だった直近のオークス(2016年)ではフローラS経由組がチェッキーノ2着、ビッシュ3着と善戦したのは記憶に新しい。桜花賞上位組が距離延長を苦にするようなら同年の再現もあり得る。そして予想外ともいえるウィクトーリアのレース内容にこそ桜花賞組逆転の可能性が見いだせる。

 戦前に陣営が公言していた戦法は“逃げ”。ハナを切った2戦(新馬、500万下)が快勝に対して、控えた2戦(札幌2歳S、赤松賞)は出走馬中7、3位の上がりで7、5着に敗戦…。ためても切れないならば積極策選択は道理だ。しかし、スタートのタイミングが合わずまさかの出遅れ。事態を目の当たりにした小島調教師も「ダメだと思った。まずは無事にゴールできれば」。

 ただし、あきらめることを良しとしなかったのが、実戦では初めて手綱を取った戸崎圭。慌ててポジションを上げることなく勝負どころまではインのポケットで我慢。残り400メートルを切ってから徐々に外に持ち出すと一気にギアを上げる。「調教からフットワークの良さを感じていました。作戦とは違う競馬になりましたが、最後は力を発揮してくれましたね」と同騎手。マークした上がり3ハロン33秒2は次位を0秒3上回る出走馬最速。これまでのイメージを払拭する決め手を発揮しての重賞初制覇は単なる権利奪取以上の意味を持つ。

「次は距離がどうかとみていましたが…。戸崎クンは“持たせる”と言ってくれましたので」と小島調教師も12ハロン決戦に前向きな姿勢を見せる。加えて「現状は能力だけで走っている」(同師)としながらも「前走時よりも馬は良くなっていた」と右肩上がりの成長曲線を描いていることは間違いなさそうだ。

 08年のGI秋華賞を制した母ブラックエンブレムはオークスで4着止まりだった。孝行娘がリベンジを成し遂げる可能性は小さくなさそうだ。