【桜花賞・後記】グランアレグリア規格外Vの評価と次なる舞台

2019年04月08日 21時33分

ルメール=グランアレグリア(左から3頭目)は満開の桜が見守る中、4コーナーで早くも勝負を決めてしまった

 7日、阪神競馬場で行われた牝馬クラシック第1戦の第79回桜花賞(芝外1600メートル)は、2番人気のグランアレグリア(藤沢和)が優勝。年明け初戦での桜花賞制覇は史上初で、勝ち時計1分32秒7は昨年のアーモンドアイを上回るレースレコードだ。規格外の勝利を飾った同馬の評価とその意味を考察する。

 終わってみれば強い馬が強い競馬をした――。ただそれだけのことなのかもしれない。グランアレグリアがマークした1分32秒7の勝ち時計は、昨年のアーモンドアイの1分33秒1を凌駕するレースレコード。昨年の朝日杯FS(3着)以来、4か月の休養明けというローテーションも異例のことで、年明け初戦での桜花賞制覇は史上初。“偉業達成”と持ち上げる材料は揃い過ぎているのだが、レース後のルメール、藤沢和調教師や厩舎スタッフの様子を見ると、喜びを爆発させるというより“やるべきことをやった”うえで結果が出たことに納得し、安堵している感じだった。

 レースは大外枠のプールヴィルがハナを切り、3ハロン通過は35秒4。時計の出やすい馬場状態としてはかなりのスローペース。ポジションを取りにいく必要に迫られる展開なのだが、人気を集める有力馬も含めて過敏な牝馬同士の戦い。折り合いを欠いてしまうリスクを恐れる気持ちが先に立つと、緩い流れに合わせて馬が落ち着くように鞍上が力を注ぐのは仕方のないこと。グランアレグリアも例外ではない。スタート直後に4番手の好位につけたものの、ペースが落ち着くと行きたがるしぐさは見せた。しかし、ここで驚かされたのはルメールが早め進出の競馬を選択したことだ。

「朝日杯では速い脚がなかったけど、勉強した。ペースが遅くなったので外から前へ競りかけると、そこから加速してゴールまで大丈夫だった」とルメール。アドマイヤマーズに並びかけられると抵抗できなかった朝日杯FSの内容を踏まえ、この日のスローペースへの即座の対応は鞍上の手腕を称賛するほかない。33秒3の高速上がりを自ら叩き出し、4コーナーで勝負を決めてしまっては後続になす術はなかった。

 もちろん新馬戦ではダノンファンタジーを寄せつけず完勝した逸材。朝日杯FS当時と比べても、休養していたとはいえ馬自身が成長した部分も大きいのであろう。

「今もそうなんですが、随分と行きたがるところのある子。朝日杯後は疲れた様子で、牧場へ戻してからも時間が必要でした。ぶっつけのほうが調整しやすいという判断。今日はリラックスして理想的な流れの中でレースができましたね」とは藤沢和調教師。課題の多い3歳馬にGIタイトルを取らせるには、どういった方法が最善かを考え抜いたうえでの策が、最上の結果を呼び込んだ。

 距離が延びるオークスについて質問されたルメールは「スピードのいい馬で長い距離がいいかは分からないし、難しい」と答えたことからも、グランアレグリアが次に目指すべきは5・5NHKマイルCかもしれない。

 今後のローテーションについて明言は避けた藤沢和調教師だが、厩舎にはフラワーC優勝のコントラチェックという手駒も控えている。数字だけに飛びついて“アーモンドアイに次ぐ新星誕生”と呼ぶには、まだ心もとない勝利と思えるが、昨年のアーモンドアイに続いて阪神JF→チューリップ賞という王道ローテ以外から勝ち馬が出たことに注目しておく必要がある。今後は牧場との連携でGIを取りにいく流れがスタンダードとなるのかもしれない。