注目新人・大塚海渡 自厩舎の騎乗馬で初Vチャンス到来

2019年04月04日 21時31分

大塚海渡

【美浦トレセン発秘話】本来であれば山村大先輩のコーナーですが、ドバイから取材記とお土産(多分)をお持ち帰りの途中ということで、今週は小生が担当。今日ばかりは、どうぞお付き合いください。

 東京の桜は満開を過ぎ、いよいよ春シーズンが到来。GIばかりに視線が向くものの、ローカルが主場の身としては、ひと足先に第一歩を踏み出した新人ジョッキーの動向が気になるところ。中でも大塚海渡(18=木村)は担当厩舎ゆえに、ごひいきだが…。

 真ん丸顔に、なぜか憎めない愛くるしい表情。それでいて検量室ではハキハキした口調で、とにかく真面目。しかしながら、待てど暮らせど自厩舎の騎乗馬は先週時点でゼロ。不安ばかりが先行してしまう。

「予定していた馬の体調が整わなくて、ここまで機会がないだけ。本人には、ちゃんと話してあるよ。こちらが納得する状態で出走させないとジョッキーに失礼だから」

 昨年のJRA賞優秀技術調教師にこう言われては、ただ待つしかない。もっとも、愛弟子の成長を一番近くで感じているのは木村調教師に他ならない。

「レースは全部見てるし、着実にステップアップはしている。休みの日も惜しむことなく自分のために努力を重ねているよ。周りがジーンズをはいても、いまだに乗馬ズボンで調教に乗るのが大塚の魅力。とにかく実直な男だから」。師のストレートな表現こそ、互いの信頼関係が成り立っている証しだろう。

 昨年5月の3歳未勝利戦が終盤を迎えたころ、勝負師たる心構えを垣間見た場面があった。格上と互角に走る稽古の動きが目に留まり、鞍上を見ると見習い帽子の海渡の姿が。師に尋ねると「あれは人馬ともに未出走だから」と軽くいなされたが、どうも気分が収まらず、厩舎に引き揚げる途中で、こっそりと海渡にこう聞いた。

「その馬、走ると思うんだけど?」

 すると、ひと呼吸する間もなく「いい馬です。東京のマイルくらいが良さそうです」。

 東京競馬場どころか、マイルの流れを知ってんのかよとツッコミを挟む隙をも与えないジャッジ。その週にデビューを迎えたシーオブセレニティは直線で鋭く伸びて2着。その素質を早々に見抜いたのだから驚きだ。

 若手の登竜門になる福島開催が今週からスタートするが、海渡は中山。ついに自厩舎のリモンディ(7日=日曜12R)に騎乗することが決まった。「同期が先週も勝ちましたからね。頑張るんで応援してください」と、当の本人に緊張した様子はなく、まるで中堅騎手の取材対応。満開の桜花の下、ドヤ顔とは全く似つかない“ニンマリ海渡”をウイナーズサークルで、ぜひ見てもらいたい。