【ドバイターフ】完勝アーモンドアイ 世界最強牝馬エネイブル3連覇阻止への「凱旋門V戦略」

2019年04月02日 21時32分

ドバイターフを快勝したアーモンドアイ(ロイター)

 世界制覇に向けたアーモンドアイ(牝4・国枝栄厩舎)の“ワールドツアー”が幕を開けた――。現地時間30日にUAEのメイダン競馬場で行われたドバイ国際競走のドバイターフ(芝1800メートル)に臨んだ日本最強馬は断然の人気に応えて快勝。自身初の海外遠征というアウェーの状況でも5度目のGI制覇を成し遂げ、その強さを改めて世界に見せつけた。世界最高峰の10・6仏GI凱旋門賞(パリロンシャン競馬場=芝2400メートル)を目指す次なる戦いの場は?

「これはファーストステップ。これから先は一歩一歩です」

 ドバイターフを勝利した直後の主戦ルメールの言葉が、勝利の真の意味を物語ろう。初の海外遠征も日本のエースにすればチャレンジではなく通過点。重要なのは、これからどれだけ強くなるか…。その一点に尽きる。

 レースは独壇場だった。道中は中団の外めを追走し、直線に入っても馬なりのまま。残り300メートル付近で先頭に立つと、ルメールは後続の位置を確認しながら右ムチで仕掛けると鋭く末脚を伸ばす。追いすがる2着のヴィブロス以下をそのまま寄せつけず、1馬身1/4差をつけて悠々とゴール板を駆け抜けた。

 誰もがアーモンドアイに大きな可能性を感じている。かつて厩舎の番頭格・佐藤助手が、こんな話をした。

「この馬の強さは単に脚力だけじゃない。競走馬の資質をチャートで表すなら、すべて満点に近いタイプ。実は、そんな馬は、そういないんだ。ポテンシャルが高くても、体質が弱かったりメンタルが崩れたりして、チャートがひずみになる馬は多いんだ。だから心身が常に健康でいること、それが何よりすごい」

 いわゆる心技体。すべてが整ったスーパーアスリートであることを証明する出来事が、今回のドバイでもあった。国枝調教師いわく「小さなトラブル」。それは美浦の出国検疫中のこと。環境の変化に食いが落ち、当初490キロあった馬体を大きく減らした。

 しかし、ドバイ到着後は、すぐさま環境に順応。丸みを戻した姿に「こちらの乾燥した気候も合ったが、何かあっても最終的には、うまく持ってくる。それがアーモンドアイの力。強さだと感じた」と国枝調教師は感嘆を隠さなかった。

 次走に関してシルクレーシング・米本昌史代表は「まずは無事に日本に帰ること」と明言を避けたが、トレーナーの気持ちは、すでに「年内海外」で固まっている。

「次のステージはヨーロッパ。凱旋門賞がもちろん、最大のターゲットになると思う。一番はロンシャンの芝(適性がどうか)だよね。ローテの選択肢もいろいろとあると思うが、勝つ気で行くし、そのためにどうするかだ」

 同師は海外メディアの質問に対して「英インターナショナルS(8月21日=ヨーク競馬場・芝2050メートル)も選択肢のひとつ」「エネイブル(今年、凱旋門賞3連覇を目指す世界ナンバーワン牝馬)と戦いたい」など、英語でその熱意を示した。

 もちろん、欧州の芝適性に関しては未知数。それでも、ドバイ滞在中にダートコースで調整した際に「走りを見たらダートも合うな(笑い)」と、指揮官からはパワー勝負への対応にも言及する言葉が聞かれた。実りの秋へ向けて着実に歩を進めたのは確かだろう。

 名手ルメールをして「ボウマンのウィンクス、スミスのゼニヤッタ、キネーンのシーザスターズ…。僕にとって、そんなホースオブライフになってくれる馬」。

 いざ日本の至宝から世界の至宝へ。心技体、その進化はまだまだ止まらず、世界の頂点にまい進していく。