【高松宮記念・後記】初の芝千二で快勝! ミスターメロディは短距離界の絶対王者になれるか

2019年03月25日 21時33分

好位からスパッと抜け出した福永=ミスターメロディ(右)

 24日、中京競馬場で行われたGI第49回高松宮記念は3番人気のミスターメロディ(牡・藤原英)が優勝。初出走の芝1200メートルで1分07秒3の高速時計を叩き出した。昨年のスプリント王ファインニードルの引退で混迷した短距離界は、米国生まれの4歳馬がこの先も主役を務めることになるのか――。レース後の取材から検証してみる。

 ファインニードルの引退で新チャンピオンの座を懸けた戦い――。新星誕生の期待が高まる中、1番人気ダノンスマッシュは不発の4着。2番人気モズスーパーフレアは15着失速。そして3番人気のミスターメロディが好位抜け出しの競馬で王座に就く。明暗を分けた要因は…。結論から言えばそれは明白。内外の枠順の違いが顕著に結果に結びついたと言える。

 してやったりの表情で引き揚げてきた福永は「やりたいレースができました。あとは馬が頑張ってくれるだけというところで、いいタイミングでスペースが開いてくれた」。好位インでの立ち回りは作戦通りの競馬だった。

 これを補足した格好で藤原英調教師は「本当に条件の揃ったレースだった。良馬場であること、内枠が引けたこと…枠順の並びを見てジョッキーとこちらが思い描いたイメージは同じ。ほぼその通りのレースとなった」と緻密に立てた戦略がGI制覇につながったと評した。

 もちろん、ミスターメロディの持てる素質も非凡であることは確か。デビューから4戦はダートで1→2→2→1着。初めての重賞制覇は芝へ転じたファルコンS。そこから足踏み状態が続いたものの、今度は初めて経験する条件でいきなりのGI制覇だ。

 藤原英調教師は「左回りが主流のアメリカ、トレーニングセールの出身だから、右回りの練習を始めたのは日本に来てから。右回りでも頑張ってはくれるけど、やはり調教でも左回りでの走りがいい。それを一番に考えれば、千二のGIにも対応できないかと考えた」と路線切り替えの理由を説明する。

 しかし、計画は思い通りに進むわけではない。賞金加算をもくろんだ前走の阪急杯では、スピードに乗ったところで他馬を気にし、よもやの7着敗戦。さらに背腰を痛めるアクシデントにも見舞われ、賞金面でも高松宮記念への出走が危ぶまれる状況になった。

「阪急杯後の1週間は治療をしつつの調整となったが、幸いなことに軽い筋肉痛で済んだ。こうしてGIへの出走を果たせたし、この枠順に今日の天候。運のいい馬なんだろう」と同師。

 ただ、指摘したいのは開催最終週にして突如、馬場が高速化した現象。Bコース使用というだけでは説明できない。外枠を引いたジョッキーたちは手も足も出なかった。これはビッグアーサーが1分06秒7のレコードで勝った2016年と酷似している。この一戦だけでミスターメロディを、絶対王者とするには無理があると言わざるを得ない。真のスプリント王決定戦は秋に持ち越された。最終週の中京芝戦の時計は馬場差をじっくり検証する必要あり、と記憶しておく必要があるだろう。