【高松宮記念】超新星ダノンスマッシュは本物か?安田隆調教師を直撃

2019年03月19日 21時34分

ロードカナロアも担当していた岩本助手に甘えるダノンスマッシュ

【高松宮記念(日曜=24日、中京芝1200メートル)】今週末からJRA・GIが4週連続――日曜は中京競馬場で短距離王を決める第49回高松宮記念が行われる。質の高さ、層の厚さがウワサされる4歳世代の中で、ひと際まばゆい光を放つのが重賞連勝中の超新星ダノンスマッシュ。父は世界のスプリント王ロードカナロアだ。その強さは本物か? 偉大な父を超えるのか? その父も管理していた安田隆行調教師(66)に、ねちっこい取材で定評がある“闘竜”石川吉行記者が熱く迫った。

 ――京阪杯、シルクロードS連勝のステップといえば、どうしてもキュウ舎の偉大な先輩で、ダノンスマッシュの父でもあるロードカナロアを思い起こさずにはいられません。ここでGI制覇となれば、一気に父を追い越す形になります

 安田調教師:ロードカナロアはすごい馬でしたからね。それでも初めてのGIは3着に負けました。それだけGIを勝つのは難しいことですし、経験の差のようなものが出ることだってあります。

 ――ロードカナロアはGIを6勝し、現在は大種牡馬への道を歩み始めています。現段階での比較は酷かもしれませんが、2頭の4歳時の京阪杯、シルクロードSの競馬を比較して、どう感じていますか

 安田調教師:ロードカナロアのシルクロードSは外から一気にぶっこ抜くような、とても強い競馬でした。ただ、ダノンスマッシュの前走も普通なら負けパターンという形。それでも直線で前が詰まりそうになったところから進路を切り替え、残り1ハロンで抜け出した時の脚はちょっと違っていましたからね。少し父に近づけたのかな、という気がしています。

 ――現在の充実ぶりは顕著ですが、2歳時は「まだ緩いし、幼さも残る」とコメントされることが多かったように思います。当時を振り返ってください

 安田調教師:新馬戦は勝てなかったものの、次の未勝利戦、オープン特別(もみじS)と連勝。2歳ですから当然の緩さはありましたし、レースでもソラを使ったりするところがありました。その中でも結果を出してくれて当時からセンスの良さは感じていました。

 ――結果が出ない時期もありました

 安田:ハミを越すので舌をくくってみたりと、いろいろ工夫をしていた時期ですが、朝日杯FS(5着)、ファルコンS(7着)と出遅れる競馬が続きましたからね。その後はゲートにくくりつける練習もしました。次のアーリントンC(5着)では普通にゲートを出たものの、直線の伸びはもうひとつ。思えば、あのころが馬にとって最も苦しい時期だったのかもしれません。

 ――NHKマイルCは直線で不利があっての7着。内容的には悪くなかったとも思えました

 安田調教師:不利うんぬんはあまり関係ないと思いますが、本来のスタートの良さが戻りましたし、自分の力を発揮する競馬はできたと思います。ただ、それであの着順でしたから。この馬は短い距離のほうがいいだろうという判断に至ったんです。

 ――そして北海道競馬に参戦。夏場は休んで秋から復帰という選択肢もあったと思うんですが

 安田調教師:次は短い距離と決めたわけですし、ようやく調子を上げてきたところでしたからね。北海道では調整した現地で競馬に臨めますし、北村(友一)騎手がつきっきりで調教をつけてくれたことが、好結果につながったところもあると思います。準オープンの条件戦だったとはいえ、距離適性の高さを示す強い競馬をしてくれました。キーンランドCは2着でしたが、北海道での2走はいい経験になりました。

 ――そこでの経験が生かされての京阪杯、シルクロードSの重賞連勝となったわけですね

 安田調教師:もちろん、もともと持っている短距離適性の高さはあったでしょうが、馬が成長する時期と短距離を使い始めたタイミングも合っていたんでしょう。夏に北海道を走った後の放牧明けは、たくましさを増して短い距離を走るのにふさわしい馬体になっていました。状態の良さに期待してのここ2走でしたが、ともに強い競馬をしてくれたと思います。

 ――13日の1週前追い切りは栗東坂路での併せ馬で4ハロン49・7―36・6―12・5秒の速い時計をマーク。動きも素晴らしかったと思います

 安田調教師:1週前は目一杯にやるつもりでしたからね。しっかりと動けていましたし、この時計は十分に評価できるものだと思います。1週前にビシッと追って、当週はサラッとというパターンは前走のシルクロードSの時と同じ。このまま順調にいけば、引き続きいい仕上がりでレースに臨めるでしょう。

 ――ではGIへ向けての意気込みを

 安田調教師:馬が充実してきたことで、楽しみを持ってレースに臨めそうです。GIでも頑張ってくれるだろうと期待しています。

【父ロードカナロアはGI・6勝】ダノンスマッシュの父ロードカナロアは通算19戦13勝。京阪杯→シルクロードSと重賞を連勝して迎えた4歳の高松宮記念では1番人気で3着に敗れた(1着は同厩のカレンチャン)。そこから2→2着の後、スプリンターズSでGI初制覇。その後は香港スプリント(12、13年)、高松宮記念、安田記念、スプリンターズSとGI勝ちを積み上げ、13年のJRA年度代表馬に選出された。スプリント路線を主戦場とした馬が年度代表馬に選ばれたのは史上初。