【スプリングS・後記】10番人気で勝利エメラルファイト 皐月賞の台風の目に!

2019年03月18日 21時31分

上位3頭同タイムの激戦はエメラルファイト(左)に軍配が上がった

 17日、中山競馬場で行われた4・14皐月賞トライアル(3着までに優先出走権)のGIIスプリングS(芝内1800メートル)は、10番人気の伏兵エメラルファイト(牡・相沢)がファンタジストの追い込みを封じて勝利。鞍上の石川裕紀人(23)は所属の相沢郁厩舎とのコンビで初の重賞制覇を決めた。この師弟タッグが皐月賞の台風の目となるのか――当レースを検証する。

 ダッシュ良く飛び出したクリノガウディーがスタート直後にまずは1馬身ほど前に出て、その外から5頭が競り掛けに行く。1コーナーまで雁行状態が続いたが、その中の一頭、エメラルファイトはスッと引いて中団へ。中山芝コースは追い込みが利きにくい傾向。先行争いに巻き込まれることなく、それでいて後ろ過ぎない位置で運べたことが大きな勝因と言えるだろう。

「弥生賞と比べて頭数(16頭)が多かったので、どうさばこうかと考えていたが、周りを見渡せるポジションを取れたことが良かった」と冷静沈着にプレーした石川の好判断もさることながら、今回も含めて5つの競馬場で走ってきたエメラルファイトの経験値の高さ=自在性が奏功した。さらには「直線では坂がこたえたせいか、脚色が鈍ったけど、後ろから馬が来たらまたグッと伸びた」と勝負根性の確かさも証明された。

 過去10年のスプリングSを見ると、1着馬のアンライバルド(2009年)、オルフェーヴル(11年)、ロゴタイプ(13年)だけでなく昨年は2着エポカドーロが本番も制した。かつての王道だった弥生賞よりも本番へつながりやすいトライアルであり、エメラルファイトがマークした時計1分47秒8も2位タイと速い。

 皐月賞へ向けて見通しは一見、良好に映るが、問題は距離への対応だ。現役の兄2頭(エメラルエナジー、エメラルスター)はともにマイル以下で活躍しており、ラストはファンタジストに鋭く迫られ1ハロンの延長は決して追い風にはなるまい。

 しかし「重賞勝ちもうれしいけど、相沢厩舎の馬で勝てたことがうれしい」と石川が言えば、「弟子の石川で重賞を勝てたことがうれしい」と相沢調教師も声を揃える。取材者の間に朗らかな空気が流れたのも事実だ。百戦錬磨の師匠と初々しさが残る弟子のコンビが、多くの人の見えざる力に後押しされ、クラシックでも奇跡を起こしてしまうのでは…そんな思いにも駆られた皐月賞最終トライアルだった。