【有馬記念】何かが起きる?平成の「12・23有馬」を検証

2018年12月18日 21時33分

大観衆で埋まった中山競馬場で武豊=オグリキャップ(手前)はラストランを見事に飾った

 平成最後のグランプリ・第63回有馬記念は12月23日の開催。過去の“12・23有馬記念”を調べてみると、人気サイドで決着した平穏続きの昭和(3回=1956、62、84年)に対し、感動、波乱、仰天…。平成の4回は数々のドラマが繰り広げられた。オグリキャップ感動のラストラン、最低人気馬アメリカンボスの2着激走など、レース後の残響は半端ではなかった。平成最後の大一番はどんな結末になるのだろうか――。

【1990年】歴史をひもとけば、記念すべき第1回の有馬記念は12月23日(1956年)施行。そこから12・23有馬記念は計7回行われている。ただし、56年メイヂヒカリ、62年オンスロート、84年シンボリルドルフと昭和時代の勝ち馬はすべて単オッズ1倍台の断然人気馬だったが、それ以降はレースの傾向が一変した。90年は「感動」「奇跡の復活」というフレーズが飛び交った年となった。

 同年の前半の主役はオグリキャップ。前年の有馬記念では5着に敗れたが、復帰戦の安田記念で1分32秒4のレコード(当時)で完勝。続く宝塚記念は2着に敗れたものの、秋もオグリキャップ中心で古馬戦線が回るものと思われた。ただ、右後肢の飛節軟腫で米遠征(アーリントンミリオンS)を取りやめたあたりから暗い影が差す。

 秋初戦の天皇賞・秋が1番人気で6着。続くジャパンCでは4番人気11着で見せ場すらなし。「限界」「即引退」という声が渦巻く中で有馬記念はファン投票1位ながら4番人気。馬券購入者はシビアだった。しかし、前述の安田記念以来、再び手綱を取った武豊は希代のアイドルホースを完璧に導く。4角2番手から力強く伸びて、メジロライアンの猛追を3/4馬身差で振り切った。

 人、人、人。中山競馬場には現在でも入場者レコードの17万7779人が詰めかけた。爆発する「オグリ」コール。勝ち馬自身の体調は決して万全ではなかった。「かつてライバルだったイナリワン(前年の有馬記念優勝馬)をやっていた五関(厩務員)さんや、多くの人がレース前に馬房にやってきて“頑張ってや”とワシやオグリに声をかけてくれた。ファンも含めて多くの人たちの応援がオグリに届いたんやないかな」とはレース直後の池江敏郎厩務員。オグリキャップの2年ぶりとなる有馬Vゴールは「伝説」となった。

【2001年】世相を映す有馬記念とよく言われるが、01年はそんな年だった。マンハッタンで起きた9・11米国同時多発テロは今も忘れることができない痛ましい事件だ。この年の競馬はテイエムオペラオーVSメイショウドトウの名勝負数え歌が続いていた。6月の宝塚記念では、ついにドトウがオペラオーに勝ってGI初制覇。秋はどんな戦いになるかファンも興味津々だったが、時代は流れる。天皇賞・秋はアグネスデジタルが勝ち、オペラオー2着。ドトウ3着。続くジャパンCは3歳馬ジャングルポケットが優勝する。

 栄枯盛衰。そして迎えた有馬記念でかつての2強は掲示板確保が精一杯だった。上がり33秒9の鬼脚で直線一気に突き抜けたのは菊花賞を制して勢いづく3歳馬マンハッタンカフェ。2着には2番手から粘りに粘った最低人気のアメリカンボスが入り、馬連は4万8650円となった。まだ、馬単も3連単もない時代の話。その年の最大の事件が馬券のキーワードとなった格好だ。

【2007年】お祭り的な要素も多い有馬記念とはいえ、仰天の結末がこの年だった。主役候補だったのはダービー馬メイショウサムソン。07年は天皇賞を春秋連覇。ジャパンCは1番人気で3着に敗れたとはいえ、優勝馬アドマイヤムーンからアタマ+ハナ差の同タイム3着。続く有馬記念は断然の1番人気に推された。しかし、レースでは武豊が促しても前に行かず、道中11番手。2番手から4角先頭のダイワスカーレットが2着に粘る緩ペースもあり、8着に終わった。

 直線で先頭に躍り出たのは9番人気のマツリダゴッホ。地味なイメージだが、れっきとしたサンデーサイレンス産駒。加えてアメリカJCC、オールカマーとGII重賞を勝っていた“中山の鬼”だったことを思い知らされることになる(結局、重賞全6勝はすべて中山コース)。

 鞍上の蛯名は01年に続く有馬記念2勝目。「大波乱」のこの年は3連単80万880円の高額配当となった。12・23有馬記念で3戦2勝の蛯名正義は要注意!? 超伏兵のリッジマンが大仕事をするかもしれない。

【2012年】「ヒモ抜けた」「何であんな人気薄が…」。1番人気馬が快勝しながら、中山競馬場ではどよめきと落胆の声がいつまでも止まらなかった。主役は皐月賞&菊花賞の2冠を制したゴールドシップ。特に菊花賞は単オッズ1・4倍の断然人気で快勝。相変わらずスタートが悪く、道中は最後方だったが、3角からグイグイと押し上げて上がり最速34秒9でVゴール。ただ、混戦の2着争いは鞍上の腕がモノを言った感じだ。

 ルメール=オーシャンブルー。11戦目でやっとオープン入りした遅咲きの馬。金鯱賞をコースレコードで勝ち、重賞初制覇と勢いもあった。GI初挑戦で軽視されたのだろうが、それだけ粒が揃ったメンバー構成でもあった。「前走重賞V」「池江」そして「ルメール」で2桁人気は今ではあり得ないだろう。

 2番人気ルーラーシップ=3着、3番人気エイシンフラッシュ=4着。道中はインにこだわり、直線は馬群の真ん中からスパッと抜けてきたルメールのインサイドワークがなければ本命サイドで決着した一戦だった。