【宝塚記念・後記】ミッキーロケットをGI覇者に導いた和田「円熟の腕」

2018年06月25日 21時35分

ミッキーロケットの馬上でファンにゴーグルを投げてプレゼントする和田

 24日、阪神競馬場で行われた第59回宝塚記念(芝内2200メートル)は7番人気のミッキーロケット(牡5・音無)が優勝。騎乗した和田竜二は2001年天皇賞・春をテイエムオペラオーで勝利して以来のJRA・GI制覇で、実に17年ぶりのビッグタイトルとなった。今年のサマーグランプリの最大のポイントこそが他ならぬ鞍上の和田。レース前日に41歳になったベテランは何を考え、この大混戦の主役となったのか? 17年ぶりの快挙の背景に迫る。

 17年ぶりのJRA・GI制覇――。レース後のウイナーズサークルは“待ちわびた春”を祝福する人であふれ、昨今のGIの中では独特な雰囲気。当然ながら、レース後の共同インタビューも“17年ぶり”というフレーズが多く、和田の代名詞でもあるテイエムオペラオー(今年5月17日に死す)に関連した話も多かった。その一つひとつに誠実に答えた和田の姿は素晴らしかったが、最も感銘を受けた言葉は違う。

「早めに抜け出してしまったようにも感じたんですけど、落ち着いて一完歩ずつを確認しながら乗ることができました。その部分は成長したところかなと思います」

 17年ぶりのGI勝利は夢中で馬を追っていた以前とは違う、円熟期に入ったベテランの“手腕”が発揮されたもの。テイエムオペラオーで手にした7つのGIと今回の勝利は明らかに違う種類のもの。3歳秋からコンビを組み、勝ち切れない競馬を続けた中で得た知識の勝利と言うべきだろうか。

 スタートは抜群だった。だが、以前のミッキーロケットは違う。むしろ、スタートに難を抱える馬だった。昨夏に入念なゲート練習をし、不安を払拭していたからこそ今回がある。その過程を知っているから、好スタートにも慌てなかった。内を頼る癖があるのも知っている。だから内ラチ沿いの進路は絶対に手放さなかった。そしてペースが流れていると分かっていても、自身の武器であるロングスパートに踏み切った。その騎乗のすべてに理由があったのだ。

「昨年はGIでチャンスのある馬に乗せてもらっていた。なのに、自分の技術が足りずに勝てなかった。でも、予感めいたものはあったんです」

 和田は最近の自分についてこう語ったが、それはパートナーのミッキーロケットも同じだ。殻を破れそうで破れなかった馬が前走の天皇賞・春(4着)で先につながる走りを見せた。賞金加算のためのローカル回りも検討され始めていた矢先の好走。あのレースがなければ、宝塚記念参戦があったかどうかも分からない。それが一転してグランプリホース。秋には11・25ジャパンカップを始めとするビッグタイトル獲得を視野に入れる立場になった。

「今年は(同期の福永)祐一がダービーを勝ちましたし、僕らのような年でもまだまだ競馬を盛り上げたい」と締めた41歳。この一戦をきっかけにGI勝利を増産することを期待したい。