ムチを落とした騎手が使ったまさかの“代用品”

2018年02月22日 22時00分

【TPC秋山響の海外競馬解析】騎手がレース中にムチを落としてしまう――。それほど珍しくない出来事だが、2月10日に米アーカンソー州オークローンパーク競馬場の第4R(ダート6ハロン)の最後の直線でムチを落としてしまったデイヴィッド・カブレラ騎手は、そこからが違った。

 なんと自身が装着していたゴーグルを手に取ると、それをムチの代わりにして騎乗馬ラキー(4番人気)を叩き、見事優勝へと導いたのだ。このまさかの発想による勝利は、米国でも前代未聞の騎乗として話題になっている。

 アーカンソー州のルールでは「馬を加速、減速するためにムチ以外の物を持つことも、使うことも禁止」されており、カブレラ騎手は2月16日に200ドル(約2万1000円)の罰金を科せられたのだが、ゴーグルを使ったのは1着賞金4万5600ドル(約485万円)を目指して逃げ粘ろうとする場面で、しかも外には追いすがる馬もいるという状況。勝つことに貪欲な騎手としての本能から出た行動だろう。

 カブレラ騎手はエージェントを通じて米国の日刊競馬情報誌TDNに「ムチを落としたことはこれまで何回かあったが、ゴーグルを代わりに使ったのは初めて。ムチのない状況で最初は手綱や足を使って追ったが、反応がなかった。まだ余力を残していると思ったので、とっさにゴーグルを使った」とコメントした。

 カブレラ騎手はメキシコ出身の25歳。昨年12月からスタートしたオークローンパーク競馬場の冬春開催では2月18日現在で22勝を挙げてトップに立っている若手のホープだ。