【今週ラストウイーク】7冠テイエムオペラオー育てた小さな巨人・岩元調教師「定年後のことは考えない」

2018年02月21日 12時15分

19日に草津市内のホテルで行われた、定年を迎える関西所属5調教師。右が岩元師

 著名トレーナー・岩元市三調教師(70)が2月いっぱいで定年引退になる。布施正元調教師に師事し、下乗り(騎手候補生)として19歳で競馬の世界に足を踏み入れて約50年。師の居場所は常に馬の背上にあった。

「今も厩舎に入った馬は大体、一度乗る。自分で乗れば癖がつかめて、ハミを替えればいいなどが分かる」

 定年へのカウントダウンが始まった現在でも“調教騎乗者”としてバリバリの現役。師の姿は朝一番の馬場で見つけられる。

 そのタフネスぶりから周囲の尊敬を集めているが、調教に乗り続けていることは自然な成り行きという。「調教師になった時に、いつまで乗ろうとか考えていたわけではないし、今も無理してるわけでもない。競馬と違うからそんなに大変じゃないし、乗ろうと思えば他の調教師も乗れるよ。もっとも、みんなはそれなりに太っとるから重そうじゃがの(笑い)」。故郷・鹿児島のなまりが交じる独特の節回しで無邪気に笑う。

 騎手時代はバンブーアトラスで1982年日本ダービーを制するなど通算578勝を挙げ、調教師としては不世出の名馬テイエムオペラオー(26戦14勝=GⅠ・7勝)を管理。愛弟子・和田竜二を厳しく育て上げるなど、競馬振興への貢献は計り知れない。

 競馬をこよなく愛してきた岩元調教師、引退後はどんな生活を送るのだろうか。「真剣に仕事に打ち込んでいれば先のことは考えない。辞めた後はテレビでも見ていれば時間は過ぎていくだろう。今なら大河ドラマだな。西郷先生(NHK・西郷どんの主人公=西郷隆盛)は日本の偉人じゃからな。次の日が朝早い時は録画して見とる」

 常に自然体で温厚篤実。厩舎カラーの黄色と相まって太陽を連想させる。愛すべき小さな巨人は静かに競馬の世界から去っていく。

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