野中調教師「やっと見つけた」逸材シヴァージ 27日の中京ダートでデビュー

2018年01月24日 21時30分

【POG日本一・吉田竜作のマル秘週報(27日、中京ダート1400メートル)】先日、栗東の調教スタンド3階で原稿を打っていると、松田博厩舎出身の某厩舎スタッフと顔を合わせた。装備は調教仕様ではなく、手にはビデオカメラ。「ウチの先生が藤沢(和)先生のところに研修に行っていて、それでこういうやり方を始めたんです。松田(博)厩舎の時では考えられないですよね」とは、その彼。調教に乗っている側と外から見る側とで感覚をすり合わせるように意見交換し、それぞれのスキルアップにつなげる。こうした取り組みが、美浦ではかなり前から行われていると聞いてはいたが、実際に目にするのは初めてだった。

 松田博元調教師は調教の映像を見ながら意見を出し合い、改善点などを見つけよう、という考えの人ではなかった。

「しょせん人間なんて、他人に言われたところで何も分からんものよ。自分で気づいて、自分で直さないことには何も改善しない。だから俺は余計なことは言わないようにしているんだ。スタッフだって“プロ”なんだから。プライドもあるさ。それに稼ぎたいのなら自分で考えて、行動しないといけないわな」

 この松田博元調教師の考え方より、冒頭のやり方は、はるかに時代にマッチしている。映像で自分の騎乗姿勢やコンタクトの取り方が見えるのだから、他者からの指摘もより分かりやすい。「プロなんだから自分で気づけ」は確かに理想的ではあるが、実際には気づかない人間もいる。効率的に、経験や技術を伝えるという点では、やはり映像を使う方が合理的なやり方だと思う。時代の変化、テクノロジーの進歩で、調教のやり方、捉え方も日々変わってきている。記者のような古いタイプの人間は、いくらか寂しくも感じるが、少なくともいい方向に進んでいるのは間違いないのでは。

 馬というのは、それだけ見た目と乗った時の感触が異なるケースが多いもので、実はこの手の馬の方が取材をしていても楽しいというか、魅力的だったりする。最近では新馬→京都2歳Sと無傷で連勝中のグレイル(牡=父ハーツクライ、母プラチナチャリス・野中)が、そんな感じだった。

「歩幅は小さいし、コトコト歩くし…。ダートの短いところの馬なのかなと思いました」と最初の印象を教えてくれたのは担当の川副助手。それがいざ調教でスピードに乗ると動きが豹変したそうだ。このあたりは父ハーツクライもそうだった。

 現在は共同通信杯(2月11日=東京芝1800メートル)に向けて調整中。京都2歳Sの走りは見るからに粗削りだったが、「歩様は以前よりも良くなっているし、成長は感じます」とのことで、今年はさらに進化した走り…後のGI馬タイムフライヤー(ホープフルS)を差し切った走り以上のものが見られるかも。

 その前に、川副助手が担当する、もう一頭の走りにも注目してほしい。シヴァージ(牡=父First Samurai、母Indian Bay)だ。川副助手が「これは、すごい馬っすよ」とストレートに絶賛すれば、野中調教師も「いろいろ探して、やっと見つけてきた馬なんだ。動きだけを見たら芝に行きたくなるけど、ダートならもっと確実に走ると思う。パンとすれば、かなりやれるんじゃないか」と期待を隠さない。

 実際に馬房で見せてもらったら、首の筋肉のつき方や肩周りなどは、この時期の3歳馬とは思えない迫力。デビューは土曜(27日)中京ダート1400メートルを予定。今後はグレイルとともに、野中厩舎を背負っていくであろう逸材の走りが楽しみでならない。