対岸の火事ではない障害騎手不足

2013年01月23日 09時00分

【トレセン発秘話】「何でみんな、障害に乗らないんだろう。今これだけ障害騎手が少なくなっているんだから、乗っていれば前よりチャンスがあると思う。俺に体力があれば復帰したいぐらい」

 こんな話を元障害騎手の知り合いの関係者から聞いた。

 先週20日の東西の障害レースで、前日の落馬負傷で騎乗不可能↓交代騎手がいないため、2頭の馬が出走取り消し(中山4R=金子、京都4R=北沢)という異例の事態を招いた。騎手がいないための出走取り消しは1982年の見習い騎手限定競走であったぐらいで、ほとんど見られない珍しいことだという。

 当コラムが再三指摘してきた障害騎手の不足が顕在化してきた? それよりも冒頭の関係者の言葉は、この問題の本質がもう少し違うところにあることを指摘しているような気がする。つまり、障害騎手が減っていること自体が問題なのではなく、これだけ減って障害に乗れば騎乗機会が増えるチャンスがあるにもかかわらず、乗ろうとする騎手がいないということだ。

 現在、障害免許を持っている騎手は87人。それでも実際に乗る騎手は限られている。単に騎手が少ないだけなら、補充すれば事足りるが、障害に乗ろうと思う人間がいなければ、その先にはレース縮小が待つ。

 これは平地競走にとっても対岸の火事ではない。競馬学校の騎手課程を受験する人間が最盛期に比べかなり減っている現状で、騎手という職業の魅力を保てなければ、騎手不足という根本的な問題を抱えることになる。これはレースそのものを危うくさせる大きな問題だ。

(栗東の坂路野郎・高岡功)