【凱旋門賞】サトノダイヤモンド 前哨戦フォワ賞4着からの逆転率を徹底検証

2017年09月26日 21時31分

フォワ賞では直線で失速したサトノダイヤモンドだが…(撮影=平松さとし)

【凱旋門賞「大一番で輝け! サトノダイヤモンド」集中連載1】日本の競馬ファンにとって歴史的な一日となるか――。世界最高峰の仏GI第96回凱旋門賞(日曜=10月1日、仏シャンティイ競馬場=芝2400メートル)が刻一刻と迫っている。前哨戦のフォワ賞では4着に敗れた日本のエース・サトノダイヤモンド(牡4・池江泰寿厩舎)だが、敗因を徹底究明した陣営は本番での巻き返しに手応えをつかんだ(同厩のサトノノブレスも出走)。1969年のスピードシンボリ(着外)から挑み続けて48年。日本馬初の快挙はもう目の前にある。

 まさかの結末だった。現地時間10日、凱旋門賞と同じ舞台&距離で行われた前哨戦・仏GIIフォワ賞に挑んだサトノダイヤモンドは直線伸び切れず4着。初の馬券圏外に沈んだ。

 フォワ賞で敗れながら、本番で好走した例は2010年ナカヤマフェスタ(2着→凱旋門賞=2着)、06年プライド(3着→同2着)があるが、4着からの巻き返しとなると94年エルナンド(凱旋門賞=2着)までさかのぼらなければならない。データ上は厳しい立場に置かれたが、逆転の可能性は本当にゼロなのか。

 答えはノーだ。

「日本では考えられないような馬場だった」。帰国した陣営は口を揃えて道悪を敗因に挙げた。池江調教師が「これまで走ってきたレースとは11~12秒も時計が違う。後続に何度かガチャガチャ乗られるシーンもあった」とアウェーの洗礼を強調すれば、ルメールも同様に「ノメってはいなかったが、深くて軟らかい馬場に疲れていた。だから最後は無理できなかった」と唇をかんだ。もともと日本より力のいる欧州の深い芝。それが雨でさらに緩み、軽さを身上とするディープインパクト産駒にとって不向きな条件となったことは想像に難くない。

 状態面でも、海外遠征と久々による影響があった。「ロングトリップをしたので調教が少し軽かった。彼は大きな馬なので競馬(を使うこと)が必要。体にもまだ余裕があった。あの馬場はトップコンディションでなければこなせない」とルメール。実際、鞍上が感じた当日のコンディションは「60~70%」。トライアル仕様に、極端な道悪という悪条件が重なったことで本来の力を発揮できなかった――これがフォワ賞敗戦の真相だ。

 そして陣営はこう言い切る。「良馬場でやれれば逆転はある」と。

「彼は日本のチャンピオンホース。まだ自信はある。頭数もペースも違うし、本番とトライアルは別物。きれいな馬場ならエネイブル(GI・4連勝中でブックメーカーでは断然の1番人気)にも勝つチャンスがある」。想定外の敗戦でも、ルメールのパートナーへの信頼は揺るぎない。

 それは池江調教師も同様だ。「使ったことで息遣いが良くなっている。上積みは大きい。オルフェーヴルも一度使ったことで本番仕様の体になった。それを期待している」。冒頭のエルナンドも重のフォワ賞から稍重に馬場が良化した本番で巻き返した。その前例に倣えば、サトノダイヤモンドにもまだ希望は残されている。

 池江調教師は常々こう語る。「困難に挑戦しなければ人も馬も成長はない」。サトノダイヤモンドにとって、まさに今がその時だ。そしてルメールの決意も固い。「みなさん凱旋門賞見てください。応援してください。フランス人のボクにとって凱旋門賞は一番勝ちたいレースです」。苦難の壁を乗り越えたその先に、日本馬史上初の快挙が待っている。

★武豊も馬場の悪さ指摘=池江調教師が指摘したように、フォワ賞の馬場は相当に悪かった。昨年5月、同じシャンティイ競馬場で行われた仏GIイスパーン賞(芝1800メートル)を10馬身差で圧勝したのはエイシンヒカリ。当時も今年のフォワ賞も重発表だったが、武豊は「エイシンヒカリの時はそれほど馬場は悪くなかった。映像を見る限り、今回のほうが悪いように思えた」と興味深いコメント。

 坂口調教師も「良馬場なら日本馬にとって走りやすいコースだと感じた。サトノダイヤモンドの巻き返し? 日本であれだけの実績を残している馬だし、あると思うよ」。

 ディープインパクト産駒が世界の度肝を抜いたシャンティイの舞台。天気を味方につけることができれば、サトノダイヤモンドが急浮上する可能性は十分に残っている。