【凱旋門賞】サトノダイヤモンド池江調教師が語る前哨戦「フォワ賞」参戦の重大意味

2017年09月05日 21時33分

海外キャリア豊富な池江調教師がフォワ賞にサトノダイヤモンドを送り出す

 中央競馬では今週末9日から秋競馬がスタート。GIシリーズに向けて徐々に盛り上がりを見せるが、10日のフランス競馬も必見。GI凱旋門賞(10月1日=シャンティイ競馬場・芝2400メートル)に挑戦する日本のサトノダイヤモンドが僚馬サトノノブレスとともに本番と同じコースで行われる4歳上のステップGIIフォワ賞(9月10日=シャンティイ競馬場・芝2400メートル)に出走するのだ。海外馬券発売はないが、日本競馬悲願の凱旋門賞勝利へ向けて大切な前哨戦。果たして、日本のグランプリホースはどんなパフォーマンスを見せるのか?

 ここまで日本馬が獲得した凱旋門賞の最高着順は2着。エルコンドルパサー(1999年)、ナカヤマフェスタ(2010年)、オルフェーヴル(12、13年)があと一歩のところまで迫った。そして、この3頭に共通しているのが、現地の前哨戦を使って本番へというローテーションを採用したことだ。

 しかし、ただステップレースを使えばいいという単純なものでもない。昨年のマカヒキはGIIニエル賞1着で本番の凱旋門賞で大きな期待を集めたが14着と大敗を喫した。「前哨戦はいいレースができたが、本番までに期間があり調教施設も違うのでその間に馬が変わってしまった。日本にいた時より立派になったというか、“中途半端な欧州仕様”になってしまった。(鋭さやスピードに優れた)日本馬として良さを引き出すなら、こちらで仕上げて行って、直接本番に臨んだ方がいいと思う」と友道調教師は振り返る。長期滞在での調整は決してメリットだけではないのだ。

 一方、今年サトノダイヤモンド、サトノノブレスを送り出す池江泰寿調教師は凱旋門賞を巡る多くの“実地検分”を積んできた。オルフェーヴルだけでなく、実父・池江泰郎元調教師が管理していたディープインパクト遠征時(2006年=ぶっつけで3位入線→失格)にも帯同馬(ピカレスクコート)とともに敗戦をかみ締めた。

 前哨戦経由も、ぶっつけ挑戦も経験してきただけに、メリットもデメリットも織り込み済み。そんな歴史を経て獲得したのが遠征への対応力だ。「うちはソフト(スタッフの経験値、滞在時のノウハウの蓄積)が違いますから」。人の準備は常に整っている。あとは海外遠征にふさわしい馬さえいればいい。そして、今年“お眼鏡”にかなった馬が、サトノダイヤモンドというわけだ。

「大きくてズブい馬だと、こちらの環境に慣れると放牧地に来たと勘違いしてしまうケースがある。その点、ピリッとしたディープインパクト産駒…サトノダイヤモンドのようなタイプの馬にはむしろこういう環境が合うんです」。海外遠征に向く性格に加え「このクラスの馬ならば能力が高いので、違う環境に行っても修正してくる。走るフォームから変わってくる」という順応性の高さも強調。だからこそ今年の凱旋門賞挑戦はフォワ賞経由なのだ。

「日本馬は、基本は現地で一度は走らないとダメと思っている。最近海外の馬が日本で勝てないのと同じ。やはりいきなりヨーロッパの馬場となると戸惑いが出る。だから、馬体の変化というのもヨーロッパで走るからには必要なこと。(現地の馬場に)必要な筋肉がつくし、蹄跡から違ってくるもの」

 で、今年の展望は…。「もちろん勝ちたいですし、いい勝ち方もしてほしい。ただ、あくまで目標は本番。オルフェーヴルで2回挑戦しましたが、最初の年は悔いが残っている。前哨戦(12年フォワ賞=1着)で騎手(スミヨン)に対し馬が課題らしいところを見せなかったため、本番で痛い目(ゴール寸前で走りを崩して惜敗)に遭った。こちらも予感があって(内に切れ込む癖を)指摘したんだけどジョッキーが過信してしまった。そういう意味では修正点が見えてくれるといいね」

 スタンスは、課題判明の惜敗ならやむなし――。それでも「前哨戦(の勝利)は大丈夫だと思うけどね」とサラリと付け加えたトレーナー。課題をあぶり出しそれを克服して、偉大な先輩に並び…そして頂点をつかむ。プランは順調に進行している。

★フォワ賞=今年で63回目を迎える4歳上牡牝によるGIIレース。1着賞金約900万円で、距離は芝2400メートル。凱旋門賞の古馬部門の前哨戦的位置付けで、過去の勝ち馬にはアレフランス、モンジューなど欧州の名馬がいる。日本馬は1999年にエルコンドルパサーが、2012、13年にはオルフェーヴルが勝って本番の凱旋門賞に挑戦している。他にもナカヤマフェスタ(10年)やヒルノダムール(11年)が2着に入っている。