【キーンランドC】9歳馬エポワスに重賞初V呼んだ藤沢和厩舎のミラクル魔術&ルメール好騎乗

2017年08月28日 21時30分

9歳馬エポワス(左)が見事に重賞初制覇

 サマースプリントシリーズ第5戦のGIIIキーンランドC(27日=札幌芝1200メートル)は、12番人気の伏兵エポワス(セン9)が9歳にして重賞初制覇。管理する藤沢和雄調教師はJRA通算勝利数を歴代単独2位(1359勝)と伸ばした。随所に“匠の技”が光った北の電撃戦を振り返る。

「追い切りで状態の良さは感じました。でも今日はメンバーが強くて3、4着かもと思っていた」

 エポワスの鞍上=ルメールの戦前の弱気は十分に理解できる。過去5度の重賞挑戦で、今年の函館スプリントS・3着が最高着順。さらに前走のUHB賞は7着完敗。9歳馬に対するブービー12番人気は極めて常識的なオッズだろう。だが、古豪は逆襲のミラクルVを演じてみせた。仕掛けられたマジック…。“匠の技”がそこにはあった。

「おじいちゃんと(一緒に)走った」と鞍上が語る劇勝の背景には、まず一度は定年を過ぎたベテラン厩務員の助力があった。「ずっと大館秀雄さんの担当馬。前走は手を離れていたけど、今回は臨時で来て、もう一度やりたかったみたい」(藤沢和調教師)

 仕事は馬体重に示されていた。前走後は放牧を挟まず滞在で調整。前走減らした馬体は20キロ増と一気に回復した。だが、それだけで勝てるほど重賞は甘くない。光ったのは札幌リーディング(18勝)を突っ走る鞍上の手腕も同様である。

「最初は少し忙しかったが、我慢して馬にプレッシャーをかけなかった」(ルメール)

 キーンランドCは一昨年、好位4番手で運んで9着。昨年は中団7番手からインを突いて6着。そのいずれも「直線で前が詰まる不利があった」と藤沢和調教師。不完全燃焼の競馬だった。しかし、今年は最後方から徐々に加速し、進路を探しつつ直線へ。「馬場の中央を走ったが、前が開いた最後の150メートルでよく伸びてくれました」とルメール。もちろん、その脚を引き出すリードがあればこその末脚だった。

 担当者、ジョッキーの“匠の技”に加え、見逃せないのはこの勝利でJRA通算歴代単独2位(1359勝=1位は尾形藤吉・1670勝)に輝いた名伯楽の好采配だ。

「今年は(北海道シリーズ前に)阪神(大阪―ハンブルクC・1着)を使えたのも大きかった。9歳馬でも2年以上休んだ時期があったし、数を使っていないから馬も若くてやる気があるからね。スプリンターズS? 使わず放牧の予定だよ。こういう(時計のかかる)馬場が合うからね」

 決して背伸びをせず適材適所を貫く同師のポリシー。振り返って思うのは、それが何よりエポワスに大仕事をさせた要因だったということ。“匠の技”が随所に光る北海道限定ホースの躍進だった。