個性豊かな地方競馬へ

2013年01月02日 16時00分

【矢野吉彦アナウンサー:コラム「地方競馬応援席」担当】東スポフリークの競馬ファンの皆さん、2012年も「地方競馬応援席」をご愛読いただきまして、ありがとうございます。13年も引き続きよろしくお願い申し上げます。

 さて皆さん、最近、地方競馬場に行ってますか?

「地方の馬券はインターネットで買っているから、あんまり行ってないなぁ」ですって? それはいけませんねぇ。

 確かにこのところ、地方競馬の電話投票(インターネットを含む)は好調をキープしています。12年10月には地方競馬IPAT(JRAのIPATによる地方の馬券発売)がスタート。10、11月の電話投票の売り上げは前年同月を約4割も上回りました。地方競馬IPATは去年下半期の“ヒット商品”と言っていいくらい。さらなる開催日程の調整と発売日の拡大は可能なはずですから、まだまだ伸びシロはありそうです。

 パソコンやスマホを使えば、どこにいても地方競馬の馬券が買える。便利ですねぇ。でもそれは、わざわざ競馬場に行かなくても済むってこと。電話投票の発売額が増えるにつれて、競馬場を訪れるファンの数は少なくなってしまいました。

 仕事や別の用事の合間にちょっと馬券を、というのならやむを得ませんが、家の中に閉じこもって馬券を買っているアナタ、たまには競馬場に行きましょうよ! もちろん、好調続きの電話投票に水を差す気はありません。ただ、家で馬券を買うというのは、お取り寄せグルメを普段の生活空間で食べるようなもの。本当は、その土地の空気、その店の雰囲気の中で食してこそのうまさがあると思うんですけど。

 全国各地の地方競馬場は、大規模チェーン店とは一線を画す個性豊かなシブ~い名店ばかり。そののれんをくぐらなければ本来の店のよさはわかりません。

 そうそう、BSで放送中の「酒場放浪記」という番組をご存じですか? 詩人の吉田類さんが全国各地の酒場を訪ね歩き、酒を飲み肴を食う、ただそれだけの番組。でも、これを見ると、吉田さんが行った店に行きたくなっちゃうんです。ビールや酒は家にあるもので代用できても、その店のにおいや自慢の肴は“お取り寄せ”できませんからね。

 地方の競馬場には“現地限定”がギュッと詰まっています。入場門をくぐる時の高揚感、食堂から漂う胃袋を揺さぶるにおい、ファンの会話やヤジ、息遣いがわかるほどの距離で見られる人馬の攻防、舞い上がる砂塵…。その中で馬券をポケットにレースを見つめる。いいじゃないですか? 家にいては味わえない、「これぞナマ」の魅力です。

“在宅投票派”の皆さん、13年は競馬場にもぜひどうぞ。「そうだ、競馬場で馬券を買おう!」ですよ!

☆やの・よしひこ=1960年東京都生まれ、52歳。早稲田大学第一文学部卒業後、文化放送に入社。90年からフリーで活動。テレビ東京「ウイニング競馬」実況担当。国内外、JRA&地方…すべてのジャンルの競馬を愛するマルチアナ。