【中山牝馬S】武豊が明かす重賞初制覇トーセンビクトリー「変貌の理由」

2017年03月13日 21時30分

武豊&トーセンビクトリー(左)は絶妙のタイミングで抜け出し、マジックタイムの追い込みを封じた

 12日のGIII中山牝馬S(中山芝内1800メートル)で今回が引退レースだった1番人気マジックタイムを2着に退け、重賞初制覇を飾ったのは5番人気トーセンビクトリー(5歳・角居)だった。良血馬が休み明けの一戦で変貌した理由とは? 久々に手綱を取った武豊の手腕が光ったレースを振り返る。

 牝馬のハンデ重賞という難解な一戦を制したのは5番人気のトーセンビクトリー。2走前に2度目の準オープン(ジェンティルドンナM)を勝ち、再び重賞の門をくぐると、そこには初タイトルが待っていた。

「スタートが良かったので行く馬がいなければハナでも…と考えていた。3番手になったしペースも遅かったが、折り合っていい形で運べた」

 以前と違ってあのポジションで我慢できたことが成長の証し、と語った武豊。逃げる形になった近2走と異なり、今回は外の馬を行かせて内の3番手。直線では進路ができるのを待っての追い出し、とシンプルかつ無駄のないレースだった。

 1番人気マジックタイムの追撃をクビ差で振り切ったのは、ソツのない騎乗を見せた武豊の手腕があればこそ。だが、その勝利の裏にあるものにも目を向けなければならない。すなわち、母にトゥザヴィクトリーを持つ良血馬の本格化。角居調教師が指摘したのは「しっかり食べてしっかりとトレーニングができましたからね」という同馬の充実ぶりだ。一度は440キロ台まで落ち込んだ馬体重が、この日は中山への輸送があって過去最高の476キロ。5歳春にようやく能力に見合った結果が出たことで「重賞を勝てて良かった」と武豊も思わず笑みをこぼす。

 母の主戦も務めた鞍上とともに目指すのは、今回と同距離のGIII福島牝馬S(4月22日=福島)か、それともGIヴィクトリアマイル(5月14日=東京芝1600メートル)か。次走に関して「(武)豊さんと相談します」と全幅の信頼を寄せる同師。この一戦が快進撃の始まりとなるかもしれない。春らしい希望に満ちた一戦だった。