【21世紀的名馬伝説】馬名通り高速で現役を駆け抜けていったアグネスタキオン

2017年03月03日 12時00分

アグネスタキオン(提供=秋田書店)

 能力の高い馬が、ある生まれ年に集中——。こんな現象が競馬の世界では繰り返し発生する。ディーマジェスティ、マカヒキ、サトノダイヤモンドら2013年生まれの今年の3歳(特に牡馬)はその典型だが、21世紀になる寸前…1998年生まれ世代もまた、超ハイレベルだった。

 クロフネ、ジャングルポケット、ボーンキング。今でもおなじみの馬名が出てくる“軍団”の一員がアグネスタキオンだった。

“アグネス”の冠に「超高速で動くと仮定される素粒子」。命名からして非凡だったが、そのパフォーマンスは馬名を凌駕した。

 前記ボーンキング(のちに京成杯勝ち)が1番人気になった新馬戦を3馬身半差で圧勝。さらに次戦は登竜門GIIIとしておなじみのラジオたんぱ杯3歳S(当時)。ここにはジャングルポケット、クロフネというビッグネームが登場したが、2着ジャングルポケットになんと2馬身半差をつける圧勝(3着クロフネ)。この時点で通年の標準ラインを大きく超えたダービー候補の評価を手にした。

 父が“先代”の帝王サンデーサイレンスで、母は桜花賞馬アグネスフローラ。その配合から早熟ということは考えにくく、クラシックまで無事で行けば難なく3冠——。早くもこんな展望も生まれたのだが、運命の神は非情だった。

 3歳初戦の弥生賞、皐月賞と前年同様の強さでワンサイド勝ち。連勝を“4”に伸ばしたが、日本ダービーを前に屈腱炎を発症、そのまま現役引退に追い込まれた。

 極悪馬場だった弥生賞を圧勝したダメージが遠因として語られたが、真相は闇の中。アグネスタキオンはその馬名通り、高速で現役を駆け抜けていった。

 以後は種牡馬入りして、ダイワスカーレット、ディープスカイらを筆頭に著名馬を多数輩出。JRA重賞獲得はすでに50を超えているが、09年に心不全で急死。自らの生涯すら高速でたたんでしまっている。

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