
「そりゃホントか 井崎亭」の井崎脩五郎氏がお正月から登場――。すっかりおなじみになった特別長編エッセー“2016~17年版”のお題は…「大谷翔平とパピプペポ」。二刀流のスターとカタカナのパ行にどんな関連が? ここから17年の日本ダービー馬がわかるというのだが…。
大谷翔平は「何頭身」くらいあるのだろう。
身長が193センチもあるのにあの小顔だから、7頭身は楽に超しているはず。
もしかしたら、8頭身超えだろうか。
日本で8頭身という言葉が、初めて口の端にのぼったのは、戦後間もない1953(昭和28)年のこと。「現代世相風俗史年表」(河出書房新社)の、1953年のページを開くと、「八頭身美人」という見出しで、こう記されている。
〈ファッションの西洋化とともにマリリン・モンローのようなグラマー美人が男性の興味を集めるようになった。モンローは映画「ナイアガラ」のヒットにより人気爆発。セクシーに腰を振りながら歩く“モンローウォーク”が銀座で大流行。日本女性の中からも、ミス・ユニバースコンテストで三位に入賞した伊東絹子のように“八頭身美人”が出て、貧相な胸に、下がったお尻という日本女性の劣等感を払拭した。〉
それでも、その後8頭身で話題になる日本人は、観月ありさを筆頭に、ことごとく女性ばかり。
男性で、この人もしかしたら8頭身かもと話題になった日本人は、大谷翔平が初めてではないだろうか。
そのうえ、あのルックスと、投打二刀流の素晴らしさ。
おそらく、2017年末には、ポスティングでメジャーリーグへ移籍するはずだから、その前にナマの大谷の勇姿をこの目で確かめておこうと、毎試合、すごい数のファンがスタンドに押しかけるのではないだろうか。
そんな話を、近所の鰻屋でしていたら、美人女将エイコ57歳が、「大谷選手が所属しているあのチームは、ニホンハム? ニッポンハム?」と妙なことを聞く。
あれ? どっちだっけと考えているうちに、球団グッズに
Hokkaido
Nippon―Ham
Fighters
と書いてあったのを思い出した。
「あれはニッポンだね」
すると
「あらやっぱり“ポ”なの」
というではないか。
「なんだかこのところ、活躍している人って、パピプペポが多いのよ」
聞いたら、たしかにそうだった。
パ=「パ」リーグが日本シリーズ優勝
ピ=「ピ」コ太郎
プ=トラン「プ」、「プ」ーチン
ペ=?
ポ=ニッ「ポ」ンハム
なるほど、「ペ」だけがないのか。そろそろ出るかもなあ。
たとえば、2017年に、「ペ」の字を持つ馬がダービーを勝っちゃったりしてな。
アメリカの大統領就任式は、選挙の翌年の1月20日と決まっているから、トランプ氏の動向が大きな話題になっている最中の京成杯(1月15日)の勝ち馬は、流れからみて要注意かもなあ。
かつて、名前のなかに「ペ」の字があるとダービーを勝てない――というジンクスがあり、ぺの字があるのにダービーを勝ったのは、第47回(1980年)のオペックホースが初めて。
その後また勝てなくなり、2頭目のぺの字の優勝馬が出たのは、18年後の第65回(1998年)のこと。勝ったのは、スペシャルウィークだった。
それから勝ち馬はまたまたずっと出ておらず、スペシャルウィークが勝ってから2017年は19年目。
たしかに、そろそろという感じがする。
今、世の中はパピプペポの時代――。
競馬風俗研究家の立川末広は、このことを、フランスに住むペリエ騎手に伝えたという。
「ペリエさん。今年の日本ダービーは“ペ”の字が強いと言われているので、ペリエさんが来日したらきっと勝てますよ。ペリエの“ペ”です。きっと勝てます」
そうしたら、ペリエ騎手から「考えておく」という返事が来たというのだが、これは100%作り話だろうなあ。ペリエ騎手と知り合いだなんて、今まで一度も聞いたことがないから。
ちなみに、名前のなかに“ペ”の字を持つ14年生まれの牡馬はペルシアンナイト、ポポカテペトルといったところが、血統的に有望なのだが…。
そんなことを政治評論家で競馬好きの馬場初一郎に話したら、「もし、ペの字を持った馬がダービーを勝ったら、2017年は政変のある年になりますね」と言う。
「政変?」
「ええ。いま話に出たオペックホースの1980年とスペシャルウィークの1998年は、考えてみたら、大きな政変のあった年なんです」
調べると、本当にそう。
1980年は大平首相が急死し、その弔いのような衆・参両院同時選挙で、自民党が圧勝。
そして、1998年は、経済政策の失敗により、参院選で自民党が惨敗。改選議席61を大きく下回り、追加公認を含めても45議席しかとれなかった。責任を取って橋本首相は退陣に追い込まれている。
もし、ペの字がダービーを勝ったら…最後っペよろしく、政界にくさーい騒動が起きるかも。