【21世紀的名馬伝説】グレー決着第1号でもあったJRA史上3頭目の3冠牝馬アパパネ

2016年10月14日 12時00分

 アパパネといえばJRA史上3頭目の3冠牝馬(2010年)として有名だが、3レースの中で特異だったのが2冠目のオークス。こちらはJRA史上初めてGⅠが同着となった一戦として記録に残っている。

 1着同着というルールは勝ち馬が複数いるということで、勝負がついていないことの裏返しでもある(ちなみに同着は英語でデッドヒート=同一メンバーで複数回戦い勝負を決めた競馬草創期に生まれた言葉。僅差の一戦を無効としたのが語源で、現在日本語で使われる“接戦”は本来誤訳)。JRAはその成り立ちから“どちらでもない”状態はできれば避けたいわけで、チャンピオン決定戦のGⅠでは多少無理をしても(?)白黒をつけてきたわけだが、10年春についにグレー決着第1号が生まれた。

 このように据わりの悪いイメージの“同着”だが、アパパネはこの後、秋華賞を勝って3冠牝馬となり、古馬になっても先輩女傑ブエナビスタをヴィクトリアマイル(11年)で破っている。

 おそらくオークスは、本来得意距離ではない2400メートルで末脚が鈍った。それでも相手のサンテミリオンを地力で押し戻し、両者の持っていた運は互角で納得の同時入線…言葉のイメージとは裏腹に陣営にとって心の整理のついた一戦だったと想像できる。それゆえ以後の戦いにも人間サイドの心のモヤモヤがなく、キャリアの中盤、後半でも引き続いて好結果を出せた気がする。

 人も馬(?)も前向きな姿勢が生んだ計7勝、GⅠ・5勝といえそうだ。

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