【21世紀的名馬伝説】血統背景が非常にミステリアスなウオッカ

2016年05月27日 12時00分

 ウオッカといえば、何といっても2007年の日本ダービー。牡馬を退け64年ぶりに優勝した女傑として有名だ。

 これに続くエピソードとしては無類の東京巧者(GⅠ・6勝!)だったこと、さらに08年天皇賞・秋のダイワスカーレットとの死闘(写真判定に13分)などが挙げられるが、血統ファンが注目するのは、この馬が極めつきの良血ではないことだ。

 父親はタニノギムレット。トップサイヤー・ブライアンズタイムの直子で02年のダービー馬(8戦5勝)と決してマイナーではないが、ウオッカ以外の活躍馬というと、スマイルジャック、アブソリュートがいるくらいだ。

 日本競馬の父系の勢力図は、帝王サンデーサイレンスの覇権をその息子ディープインパクトが受け継ぐ形で続いている。ウオッカの走った06〜10年は(結果的に)前記2頭がバトンタッチする空白が生まれた期間で、どの種牡馬にもチャンスがあったのだが…タニノギムレットのリーディングの順位は75→18→13→10→17位。ブレークしたとはいい難い。

 また母タニノシスターの産んだ子供も、おおむね中央1勝レベル。母系全体をみても堅実ではあるものの、近親に大物の名前は出てこない。

 この配合から生まれた才能は唯一この馬だけに宿った。良血要素の合計でクラシック戦線のランキングが決まってしまう傾向が強い昨今を思うと、ウオッカの血統背景は非常にミステリアスだ。

 ちなみに“世界のシーザスターズ”(英仏愛でGⅠ・6勝)との配合で産んだ子供3頭は16年5月現在、延べ14走してわずか1勝。自らのコピーを作ることをかたくなに拒む(?)のは、血の宿命といえるのだろうか。

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