「死んだ種牡馬の子は走る」フジキセキのDNAが騒ぎだした!

2016年01月05日 19時00分

1994年の朝日杯で優勝したときのフジキセキ(左)

【栗東発トレセン秘話】この世界には「死んだ種牡馬の子は走る」という格言がある。実際そういう例は少なからずあり、短距離路線の大種牡馬だったサクラバクシンオーが2011年4月30日に心不全で死んだ約1週間後、同産駒のグランプリボスがGI・NHKマイルCを快勝した。なぜ死んだ種牡馬の子は走るのか? もちろん科学的に解明できるものではないし、単なる偶然と片づけることもできる。しかし、いにしえの時代から血統を残すために配合を重ねてきたサラブレッドが、その本能として危機状況において自らの血を残そうと、意志を強く働かせるという仮説は興味深いものとも言える。

 

 最近、死んだ大種牡馬といえば昨年12月28日に頸椎損傷で死んだフジキセキだが(もっとも種牡馬としては10年の種付けが最後)、最近その血を受け継ぐ馬たちが活躍しているのはこれまた偶然なのだろうか。フジキセキが死んだ翌日の大井・GI東京大賞典では母父にフジキセキを持つサウンドトゥルーが優勝し、その直前にはGII阪神Cをフジキセキ産駒のロサギガンティアが快勝した。その快進撃はまるでフジキセキのDNAを残そうとその血を受け継ぐ馬たちが奮起しているかのよう。

 

 フジキセキ産駒は現5歳が最終世代になるが、サウンドトゥルーのように祖父、曽祖父などにフジキセキを持つ馬が今後も活躍するケースがあるのかもしれない。

 

「芝、ダートでともにGI馬を出したけどフジキセキの持っていた能力からすれば、もっと走る馬が出てきてもいいと思うけどね。これからフジキセキの血を受け継いだ馬の中からそういう馬が出てくることを期待している」

 

 こんなことを言うのはフジキセキの現役時代の主戦だった角田調教師。たとえ種牡馬が死んでも優秀な血は途絶えることなく代々受け継がれていく…。これこそが競馬の醍醐味なのだろう。