シンガポール競馬 「GIレース廃止」の背景にチャイナマネー

2015年10月02日 16時00分

「クリスフライヤー国際スプリント」の表彰風景(2013年5月)

 シンガポールターフクラブは9月28日、同国を代表するレースだったGIシンガポール航空国際カップ(芝2000メートル)とGIクリスフライヤー国際スプリント(芝1200メートル)の廃止を発表した。「シンガポール競馬のレベルや名声は十分に引き上げられ、レース創設の目的はすでに達成されたため」としている。

 両レースはそれぞれ2000、01年に創設。特にシンガポール航空国際カップは日本馬が活躍したことで有名。06年にコスモバルクが日本調教馬として同レース初勝利を挙げ、地方馬としても初の海外GIタイトルを奪取したことで注目を浴びた。さらに翌07年にはシャドウゲイトとコスモバルクがワンツーフィニッシュ。また、クリスフライヤー国際スプリントでは02年にエアトゥーレが3着に入った(当時はクリスフライヤースプリントの名称で格付けはGIII)。

 さらに日本だけでなく、欧州、オーストラリア、香港と幅広い支持を受けたレースだけにこのタイミングで国際的に認知されたGI廃止は奇異に映るが、裏にはスポンサー・シンガポール航空が継続に乗り気でなかった事情があるようだ。

 というのは、シンガポール航空国際カップは、昨年まで同国最高賞金レース(総賞金300万シンガポールドル=約2億5100万円)だったが、2月に突然、中国系グループのため(出走馬はチャイナホースクラブと同クラブメンバーの所有馬に限られるというクローズドな条件)のCECFシンガポールカップというレースができて、これが最高賞金(総賞金305万シンガポールドル=約2億5500万円)に。シンガポール航空としては大金を払っているレースが国内2番目の賞金では「投資に見合った宣伝効果が得られない」と判断したのでは、と推測される。

 消滅回避のためシンガポールターフクラブが自腹で存続させる道もあったが、10年のカジノ解禁が馬券の売り上げに影響を与えていることもあり、実現しなかったようだ。

 つい最近もシンガポールの隣国インドネシアで高速鉄道計画に中国案を採用したニュースが話題を呼んだが、ジャンルこそ違え、チャイナマネーのパワーを感じさせられる出来事だ。

(競馬ライター・秋山響)