エピセアロームに託された10年越しの思い

2012年09月28日 09時00分

【トレセン発秘話】3歳秋の未勝利戦でデビューしてから、7歳秋まで地道に走り続けたサンライズタイガーに与えられた現役最後のレースは、最初で最後のGⅠ出走となる2002年のスプリンターズSのはずだった。

 

 スプリント重賞で活躍していたわけではない。長年(福永)厩舎を支えた功労馬に対して最後に華やかな舞台に立たせてあげようという意図だったようだ。が、レース直前の追い切りで脚部不安を発症し、そのまま引退。もともと脚元が丈夫ではなかったというが、花道を飾るはずだった舞台を目前にしてのリタイアは陣営にとって心残りとなった。

 

 そのサンライズタイガー(福永厩舎)を担当していたのが、今年のスプリンターズSにエピセアロームを出走させる石坂キュウ舎の桑村助手だ。幻の出走となってしまった02年から実に10年越しで、持ち乗り助手として担当馬を同レースに出走させる。「サンライズタイガーにはいろいろなことを教えてもらった。無事に使っていくことがどれだけ大変で、大事なことか…」

 

 今年のパートナー、エピセアロームは「カイバ食いがいいし、乗りやすくて稽古もしやすい。これだけ手のかからない馬も珍しい」という。中2週続きでも体調が変わらず良好なのはパートナーの特性ゆえだろう。

 

 サンライズタイガーで出走するはずだった02年のスプリンターズSを勝った武豊(ビリーヴ)を鞍上にレースに向かうのも何かの縁。使うつもりで使えなかった当時の思いも乗せて…。

 

 見事勝利を飾った前哨戦のセントウルSとは違って春の実績馬もデキを上げてくるだろうし、楽な戦いにはならないと思うが、応援したくなる1頭だ。(栗東の坂路野郎・高岡功)