豪華すぎるGII 札幌記念の「GI昇格」はあるか?

2014年08月19日 20時15分

ゴールドシップ

 今週のJRAで注目されるのは日曜(24日)札幌メーンのGII札幌記念(芝2000メートル)。秋の仏GI凱旋門賞に出走を予定しているゴールドシップ、ハープスターの大物2頭が登録してきた。この札幌記念、昔からビッグネームのエントリーは珍しくなく、過去10年で出走馬のGIタイトルの延べ数は20を超える。すでに準GIといってもいい立ち位置だが、果たして現実のGI昇格はないのか? その可能性を探った。

 6月末の宝塚記念から10月初旬のスプリンターズSまで。JRAの夏季シーズンは3か月強のGIブランクがある。その間はおなじみのローカル開催が進行、2歳新馬も発進と売り物はあるのだが、レースランクとしては食い足りない状態が続く。

 厳しい高温多湿気候の回避、選手層のリフレッシュと“薄味”にはそれなりの理由があるのだが、夏競馬で商品価値と売り方がアンバランスと思えるのが今週の札幌記念。過去10年で延べ18頭のGI馬が出走。ローカル開催では異彩を放つハイレベルGIIだ。

 ほとんど毎年挑戦馬が出るおなじみの仏GI凱旋門賞は10月初旬施行。本番までの期間が1か月半と自国前哨戦としては時期は理想的。冷涼な気候もあって札幌記念は常にステップレース候補に挙がり、実際今年は2頭が出走してくる(過去10年ではほかに09年ブエナビスタ=2着)。こんな話題性もある、札幌記念のGI昇格はないのか?

 施行者JRAは総論歓迎であろうと推測される。注目度アップ、売り上げの観点からいってもマイナス材料はないのだから当然だ。しかし、一方で実際の移行となるとなかなかハードルが高いという。「平成21年以降、重賞競走についてはレースレーティングをもとに格付け管理を行っています。各競走ごとにレーティングが定められ、過去3年平均ポイントがGI基準を満たさなければ昇格対象となりません。ちなみに札幌記念については、過去3年のレーティング平均は114・08。今のところGI競走の基準である115ポンドに達していません」(JRA報道室)

 日本は競馬パートI国(パートIは競走、生産、調教など世界最高水準を満たす競馬先進国とされる。日本のパートI国認定は07年で世界16番目。アジアではUAEに次いで2例目)。まずは国際的にGIにふさわしい価値が認められる必要があるのだ。

 現状不足しているのは1ポンド弱。このままGI馬の複数出走が続けば“圏内”突入も可能と感じるが、数字だけではないシビアな面もあるという。「実際の昇格にあたってはレーティングに加え、その競走の競走体系上の位置付け等により総合判断されます。基準ポイントを満たしたからといってすぐに昇格となるわけではないようです。またGI競走であってもレーティングが基準を満たさなければ降格するケースもあります」(JRA報道室)

 日本では今年12月にGIチャンピオンズC(中京)が新たに生まれたが…これはあくまで「JCダートの改善」とのこと。「レース名は変わりましたが、競走体系上の位置付けはそのまま。回次(第15回)もJCダートを引き継いでいます」。GIを新生させる、GIに押し上げる作業は想像以上に大きなエネルギーがいるということ。「札幌記念については過去にも同様なご意見を複数頂戴していますが、これまでのところ具体的検討には至っていません」が施行者側の現状だ。

 それでは現場の意見はどうか?“美浦のご意見番”としておなじみの国枝調教師は、意義は認めつつも懐疑的。「大きなイベントが増えるのはいいことだが、現在の重賞体系は飽和状態。しかも、日本の夏場は北海道を含めてサラブレッドにとっては暑い。あえてこの時期にGIを作って、それを目標に馬を仕上げるというのはどうなんだろう」

 一方乗り手はどうか? こちらも本紙連載『“独舌”講座』でおなじみ、地元札幌出身の蛯名騎手。「これまでもエアグルーヴやブエナビスタなどビッグネームが参戦してきたけど、GIともなるともっとすごいメンバーが集まることは確実。放牧先の牧場から地理的に近いこと、また秋に欧州を目指す馬にとっては洋芝が試せることがいい」。メリットありのスタンスだ。「実現すればたくさんのお客さんが集まって大いに盛り上がるだろうね」。

 ゴールドシップ、ハープスターの大物2頭が揃った今年を好機と捉えて、“誘致”へ動く価値は十分あると思うのだが。