<新人騎手>木幡初也 慌てない騎乗”に厳しい父も感心

2014年08月09日 09時00分

新潟メーン・越後S出走予定のレッドヴァンクールと親睦を深める木幡初也

<連載:今年は当たり年!?新人騎手ローカル奮闘中(5)>

 なかなかどうして木幡初也はひと筋縄ではいかない男である。日本男児さながらの古風然とした顔つき、律義かつ穏やかな対応から当初は地味な印象を持たれていたが、今年3月のデビューを迎えると、関係者の評価が一変する。土日3鞍の船出だったが、2週目には5鞍、そして3週目には9鞍…週を経るごとに騎乗依頼が増えていった。

 これはひとえに彼のインパクトある騎乗によるもの。減量騎手特有の“徹底先行”に執着せず、騎乗馬とのリズムを重視。慌てず騒がずひと鞍ひと鞍と大事に乗り続けた結果、その3週目には関東ルーキーで一番星となる1勝目を挙げた。
 息子の仕事っぷりに常に厳しい目を向けている父親の初広も「全体的にはまだまだだが、道中で慌てないのは大したもんだ」と肝の据わった立ち回りに感心した。もっとも、単に減点材料の少ない乗り方を追求しているわけではなく、あくまで根っこの部分は勝負師だ。

「とにかく目の前にあるレースに全力投球します。大目標はデビュー前から変わることなく日本ダービーを勝つこと。だけど当面の目標はいつでも目の前の1勝だし、騎乗馬は全部勝たせたい」

 騎手であれ調教師であれ、勝利の数がモノをいう世界。冷静沈着な手綱さばきは、勝利への執念の裏返しなのだ。

 それでも師匠の鹿戸調教師は「一生懸命な半面、まだまだ雑な面も多い」と辛口の評価。7月の勝ち星はゼロに終わりデビューから続けてきた毎月の勝利は途切れたが、初也の真骨頂はこれから。熱射病に陥る馬も出現する夏の新潟はまさに灼熱地獄。ここを乗り切るために肉体を鍛え上げてきた。

「朝の調教以外は筋トレを。器械体操をやっていた小学生時代からずっと続けています。一人の時間は好きだし、大事ですから」と言うように、異様なほど盛り上がった上腕、グッと引き締まった腹部は常人離れしている。例えれば首から上は歌舞伎役者で、首から下はポパイだ。

 いろいろとギャップの激しい?初也の今週の勝負馬はもちろん「全部」だが、とりわけ力が入るのが3歳未勝利のアクアプリンセス(日曜4R=芝内1200メートル)。翌週のノスタルジック(16日7R=芝直1000メートル)も計算に入っている。

「もう一歩のところまで来ていますからね。僕自身もだいぶ癖をつかんできましたし、この夏の間に何とかしたい」と腕をぶす。

 両馬ともに前走3着で上位人気必至だが、持ち前のクールかつアグレッシブな騎乗で先頭ゴールインを果たしてほしいものだ。

☆こわた・はつや=1995年4月7日生まれ、茨城県出身。血液型=О。2014年3月1日に美浦・鹿戸厩舎所属でデビュー。同15日の中山12Rをカレイファンタジア(9番人気)で初勝利。JRA通算223戦5勝(3日終了時点)。