仕上げ7割…オルフェ戻らず

2012年06月24日 10時30分

【連載:オルフェーヴル再起動への道(6)】

 決戦を翌日に控えた23日早朝、オルフェーヴルは栗東坂路入り。軽めのキャンターで1本駆け上がった。時計は4ハロン61・6―45・1―29・8―14・6秒。それなりの躍動感はあったが、これで実戦も安泰かというと、そうでもない。

「トモの入りはだいぶ良くなってきたよ。でも、トモの厚みだけはどうしても戻ってこなかった。カイバはしっかりと食べているし、手も尽くしているんだが…」
 池江調教師の最終ジャッジは〝激変〟とはいかなかった。昨年の有馬記念出走時は究極と思えるほどまで盛り上がっていた後肢の筋肉を取り戻すことはできなかった。

「この血統は〝気持ち〟がなにより重要」

 要因はこの日も繰り返された、おなじみのフレーズ。「オルフェーヴルは精神と肉体がリンクしているのかも。だから体が戻ってこないのかな。有馬記念の前は本当に気持ちが入っていたが、それがまだ感じられない。(逸走2着の)阪神大賞典も仕上がり途上だったけど、あの時はまだ走る方へ気持ちが向いていた」

 基本的に情報はフルに公開する――。オルフェーヴルという傑出した存在に対しても、池江師の姿勢は変わらなかった。ファンに現状を知ってもらい、そのうえで馬券を買ってもらいたい…という思いがそこにはある。

「7割程度までは状態を戻せた。普通の馬なら7割の仕上げならそれに見合った走りができる。でも、気持ちで走るこの馬はそうはならないんだ」

 決して勝負を放棄したわけではなく、良くも悪くも競馬は人間の思惑を覆すものでもあるが…4冠の原動力だった旺盛な闘争心は、24時間前の段階では戻り切っていない。頼みは4冠の格だ。