【大阪杯・後記】アルアイン 皐月賞以来2年ぶり復活の意味

2019年04月01日 21時33分

アルアインの背で喜びを爆発させた北村友

 31日、阪神競馬場で行われたGI「第63回大阪杯」(芝内2000メートル)を制したのは、9番人気まで株を落としていた一昨年の皐月賞馬アルアイン(牡5・池江)だった。騎乗した北村友一(32)はデビュー14年目でうれしいJRA・GI初制覇。そこにスポットライトが向いてしまいそうな一戦だからこそ、約2年ぶりの勝利が生まれた原因を探りたい。同馬の復活は何を意味するものなのか? 

 GI馬8頭の競演は肉を切らせて骨を断つキセキの逃げによって、ラップに緩みのない厳しい展開になる――と予想されていた。しかし、戦前の予想は大きく崩れ、5ハロン通過61秒3はGIとは思えないほどの緩ペース。レースを主導したのがキセキではなくエポカドーロであったことが、異なる展開を生み出した原因になったことは言うまでもない。

 今回の勝利は展開の恩恵を受けたものなのか? 一方ではイエスであり、一方ではノーだ。アルアインは周囲に馬を置くことで闘志を燃やすタイプ。内めの3番枠から馬群の中で流れに乗る形は絶好で、池江調教師も「作戦通りの競馬になった」と枠が味方した勝利であることは認めている。

 これまで同馬が得意としてきたのはレコードタイムが出るような高速馬場のハイペース決着。そのような舞台設定が好走に不可欠だったはずだ。道中のポジションは最高でも流れは最悪…。だからこそ、この矛盾を説明することが重要になってくる。

「行きっぷりは抜群だったが、直線を向くまでジッと我慢していた。追い出してからの反応は抜群でしたし、ブリンカーも今回が2度目。慣れがあったみたい」とは手綱を取った北村友。そのコメント通りなら、アルアインは緩んだ馬場とスローペースを苦にしなかったことになる。

 これを受けた池江調教師は「若い時とは体も変わってきているし、こちらが思っている以上に対応できるようになっているのかも。高速馬場の持久力勝負が本質なのは変わっていないと思うよ」。アルアインは皐月賞馬でも、5月1日の遅生まれ。イメージと反比例し、5歳春を迎えた現在こそが充実期ならば、トレーナーの発言もうなずける。すべてが味方しての勝利ではなかったことが、逆に価値を高めることになりそうだ。

 次走は未定だが「マイルから2400メートルの距離まで幅広く活躍できる馬と考えている。種牡馬になるため、さらにハクをつけたい」と同師。選択肢は豊富。よみがえった皐月賞馬の前途は洋々だ。