【高松宮記念】“驚速馬”モズスーパーフレアの見どころは武豊の絶妙ラップショー

2019年03月20日 21時35分

変幻自在の逃走劇に注目のモズスーパーフレア

【高松宮記念(日曜=24日、中京芝1200メートル)得ダネ情報】春のスプリント王決定戦・第49回高松宮記念の最大の見どころは、“驚速馬”モズスーパーフレアの「逃げ方」ではなかろうか? 後続を大きく離すゴーイングマイウエーで、またもや大観衆からどよめきが起こるのか、それとも…。管理する音無秀孝調教師(64=栗東)は「相性抜群の武豊がどう乗るか。そこに注目してください」。天才ジョッキーのショータイムは、もう間もなく開演だ。

 スプリントGIを勝つような馬は“速い”と表現すれば大体はOK。結果的に速い時計で走り切らなければ、GIは勝てないからだ。

 しかし、その速さの質を精査していけば、馬のタイプは千差万別。例えば、国内外のスプリントGIを5勝しているロードカナロアは間違いなく“速い”が、本質的なスピードが飛び抜けているかといえば、そうでもない。少なくとも、新潟の芝直線1000メートルに出走し、持ったままでハナを切っている姿は想像できないだろう。むしろ、2000メートルの距離で差し切り勝ちをしている姿のほうが、まだイメージしやすいのではないか。

 今年のオーシャンSを制したモズスーパーフレアが刻んだ前半3ハロンは32秒3。競り込んできたラブカンプーを退けた2ハロン目が10秒1、その次のラップが10秒8だった“驚速”パフォーマンスを、管理する音無調教師は「普通に考えたら暴走だよな。どう考えたって速過ぎる」と苦笑しながら振り返った。

 前述のロードカナロアあたりとは一線を画す“スピード特化型”のモズスーパーフレアに対し、トレーナーは「1000メートルのGIがあったら迷わず使いたい。感覚的には1200メートルだって長いくらいかもしれない」と口にするほどだ。

 一方で「内から競りかけてきたので出していくことになったんだけど、テンから追ってハナに立ったわけじゃない。数字ほど無理はさせてないんだよな。もちろん、前半が速かったからこそ、上がりが34秒8とかかっているんだけど、他の馬はそれを差すことができなかったじゃない? スピードで一気に押し切るレースがこの馬には合っているんだよ」。

 もちろん、今回もスピード任せで行き切るだけ――。“速さ”のみで圧倒できるかどうかが焦点と誰もが思うだろうが、音無調教師は「いや、それだけじゃないな。武豊と中京コース。これがポイントになってくると思う」とニヤリと笑った。

 特にモズスーパーフレアに騎乗して2戦2勝と好相性を誇る武豊の手腕には大いに期待するものがあるようで、「ユタカが乗った2回はどちらも上がりタイムが乱れていない。特にセプテンバーSのラップは素晴らしいよ。前半を33秒2で行って、上がりが33秒8。こんなまとめ方を逃げ馬にされれば、後ろにいる馬は届くはずがない」。

 絶妙なラップを刻むレジェンドの手腕はここでも炸裂するのだろうか?

「で、次のポイントが中京コース。最後の直線が長い中京で逃げ馬に乗れば、直線まで(脚を)ためた乗り方をしたくなるものだし、最初のコーナーまでの距離も近いから、前半のラップも遅くできる。でも、この馬はそれではダメ。後続にも脚を使わせなくちゃならないからな。そこでユタカがどんなラップを刻んでくるか? 勝ち負けも当然だけど、俺はそこにも注目しているんだよ」

 直線の長いコースにリニューアルして今回で8年目。2番手から抜け出した馬は数多いが、スピードで圧倒した逃げ馬の勝利はいまだにゼロだ。

“速さ”のみで圧倒するスプリンター=モズスーパーフレアの挑戦は、同時に名手=武豊の手腕を堪能できるレースでもある。パッと見は単純に見える「逃げ」も、実はなかなか奥が深いものなのだ。