【弥生賞・後記】伏兵メイショウテンゲン激走Vは参考外の一戦か否か

2019年03月04日 21時30分

道悪を味方にしたメイショウテンゲン(左)が坂上で一気に勝負を決めた

 雨中の決戦となった3日のGII弥生賞(中山芝内2000メートル=3着までに4・14皐月賞優先出走権)は、上位人気馬が総崩れで8番人気メイショウテンゲン(牡・池添兼)があっと驚く勝利。2着シュヴァルツリーゼ、3着ブレイキングドーンも人気薄で3連単は45万円超の大波乱となった。ファン驚がくの一戦を振り返りつつ、そのトライアル的価値を検証する。

 皐月賞に向けたトライアル第1弾は、WIN5の“キャリーオーバー”にダメを押す大波乱の結末となった。立役者はもちろん8番人気で激走した伏兵メイショウテンゲン。朝から降り続く雨で9Rから馬場発表は「重」。「この馬場が味方したのかな」という鞍上・池添の第一声から最大の勝因であったのは確かだろう。

「前走(きさらぎ賞=5着)で切れ負けしたので早め早めの競馬を試みた」

 スタートはもっさりだったが、意識的に位置を押し上げ、2角では先行集団を視界に入れる6番手へ。勝負どころからは1番人気ニシノデイジーと一緒に仕掛け、外に持ち出した直線は坂上で一気に先頭に立った。

「母(メイショウベルーガ)もこういう馬場は得意でしたが、息子も大丈夫でしたね。まだ子供っぽさもあり直線ふらふらしていたが、しっかりレースができた」(池添)

 レースの上がりは37秒0。瞬発力を求められない舞台が奏功したのは確かだが、2着馬に1馬身半差は昨年のダノンプレミアムと同じで、完勝の部類。少なくとも今回のメンバーでは地力が上だったと判断できよう。

「時計がかかった分、良かったと思う。母は晩成だったし、この馬もまだ弱いところがある。これからだと思うけど、ナンボか肩の荷が下りたよ」

 こう語ったのは管理する池添兼調教師。母は5歳で重賞初制覇(日経新春杯)し、GIエリザベス女王杯2着を果たしたタフな晩成牝馬だったが、同時に悪馬場を苦にしない重巧者でもあった。おそらく今回のGII制覇はその血の成せるワザ。ただ、重~不良の悪馬場で行われた弥生賞(グレード制導入以降)の勝ち馬を挙げれば1989年レインボーアンバー、90年メジロライアン、95年フジキセキ、2001年アグネスタキオン、10年ヴィクトワールピサ。その面々はいずれもGI級ゆえフロック視は禁物かもしれない。

 もっとも新馬戦Vから4か月ぶりの出走だったシュヴァルツリーゼが出遅れながら2着に押し上げたように、全体レベルは微妙なところ。弥生賞馬の皐月賞Vが10年ヴィクトワールピサまでさかのぼらねばならず、トライアルとしての立ち位置が変わりつつあるのも事実である。特殊馬場ゆえの参考外たる一戦か否か…。優勝馬メイショウテンゲンの本番・皐月賞の走りは、GII弥生賞の意義をただすことにもなるだろう。